研究実績の概要 |
本研究では,複雑な結合を有するマス・ばね・ダンパ系に対する波動解析・波動制御法の議論の確立を目指し,システムの大域的な繰り返し構造(ラプラス変換上での1階の漸化式表現)に着目した解析・設計法について考えている.特に,従来結果の自然な拡張として,質点が,ばね・ダンパで,多段,もしくは,多方向に結合されたシステム,および,システム特性が周期的に変化するシステムに対し,上記漸化式表現に基づく解析・設計法について検討を行っている. 一方向に連鎖するマス・ばね・ダンパ系については,各質点が,隣り合う層に加えてその隣の層以降の質点にもばね・ダンパを介して結合されているシステム(多段結合系)を考え,その波動解析・制御について議論を行った.特に,二段結合系においては,一様な場合だけでなく,各パラメータが層ごとに一定比で変化する状況についても議論を行った.多方向に結合されたマス・ばね・ダンパ系の波動解析・制御に関しては,本年度,質点が平面内で格子状に配置された状況(二次元振動を想定)において,前年度行った上下2段のシステムに対する議論を,一般の段数のシステムへ拡張を行った.周期的に変化するシステムに対する議論についても,本年度,隣り合う層との結合が一組の場合(単結合系)において,サブシステムの内部構造を規定しない繰り返し系に対し,波動解析・制御の議論の展開を行った.そこでは,周期構造が一様な場合だけでなく,一定比で変化する場合についても議論を行った. また,マス・ばね・ダンパ系に対する波動解析・波動制御法の議論の異分野への展開を目指し,ロボットシステムやテンセグリティ構造体への適用の可能性や,知能材料を用いた制御系の実装の可能性についても引き続き検討を行った.
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