研究課題/領域番号 |
16K06164
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
松岡 太一 明治大学, 理工学部, 専任准教授 (80360189)
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研究分担者 |
平元 和彦 新潟大学, 自然科学系, 教授 (00261652)
阿部 直人 明治大学, 理工学部, 専任教授 (10202673)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 振動制御 / 慣性質量 / ダンパ / 磁気粘性流体 |
研究実績の概要 |
ステンレス製の細長いU字管に電磁石を正面向かい合わせて2個24対,計48個並べ,ダンパに正弦波の強制調和振動を与え,電磁石への印加電流を変えたときの荷重と変位の関係から,付加慣性質量を同定した.その結果,0A時では理論通りの70kg,0.25A時100kg,0.5A時120kg,0.75A時130kgと増やすにつれて上昇し,変化することが分かった.この結果は,前年度行った実験に比べて20%ほど上昇している.慣性質量効果を流体で生じさせ,かつその慣性質量のみかけの値を可変にするという当初の目的は達成できた.ただし,2つ問題点があり,一つは慣性力を得ると同時に,大きな減衰力が生じてしまうこと,もう一つは制御方法である.前者については,以前から知られており,抜本的な解決策は未だなく模索中である.後者については,研究分担者らと協議をして,振動数領域で切り替えるユニークな手法を検討している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MR流体(磁気粘性流体)を用いて,慣性ダンパに生じる慣性力を連続的に変化させることを目的として,小型のダンパを開発し,その性能を実験により調べた.具体的には,これまでフッ素樹脂製であったバイパス管を鉄製のU字管に替え,また電磁石を管全体にわたって配置する改良を行った後,研究室内の学部共通機器である疲労試験機を用いてダンパの性能試験を行った.その結果,慣性力が大きく変化せず当初の予定通りではなかった.バイパス管全体に磁場を加えられるように材質を磁性体である鉄が好ましいと考えたが,その後の有限要素解析で確かめたところ,磁性体であるが故に磁場がバイパス管内に効率的に加えられず,磁束が側壁に集中してしまうことが分かった.そこで次の段階として,ステンレス製のU字管に替え,また当初の計画では,新たにLORD社のMR流体を購入することになっていたが,機関内の教授から同社のより性能の優れた新しいMR流体を譲り受け,それを用いて再度実験を行った.そのため,試験流体の新規購入には至らず,その分の経費が残余となった.再実験の結果は,前年度に比べてより大きな可変慣性力が得られ,ほぼ期待通りの結果を得ることができた.
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今後の研究の推進方策 |
本装置の可変慣性力について焦点を定め,小型の機構で再度,実験と解析を行うつもりである.今後,台湾国立地震工学研究センター(NCREE),および米国イリノイ大学と共同で作業,意見交換し,共同研究を行いたい.本課題における機能性流体を用いた可変慣性接続質量については,その応用性,および実現性は困難であるが,実現できれば振動遮断の新たなブレークスルーとしての期待は高く,世界で誰も行っていないものである.2017度は研究代表者の在外研究期間であり,在外研究先のイリノイ大学においても研究を継続する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
2016年度においては,ある程度の研究成果が得られ、それを発表したが、期待通りの成果は得られなかった.そのため,旅費,参加登録費,および論文投稿料に残余金が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
繰越分については旅費,参加登録費に無駄の内容に充当する予定である.研究成果発表のためすでに,日本国内,米国での国際会議への講演申し込みを済ませている.
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