研究課題/領域番号 |
16K06167
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研究機関 | 岐阜工業高等専門学校 |
研究代表者 |
熊崎 裕教 岐阜工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (70270262)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 光ファイバセンサ / グレーティングファイバ / 反応性イオンエッチング / 非対称断面 / 低周波振動計測 |
研究実績の概要 |
センサFBGとほぼ同様の反射光特性をもつFBGを三角錐型状ゴム柱に接着フィルタFBGを曲げることによって、振動の測定範囲や感度をどの程度、改善できるかについて検討した。長さ50 mm、底面積50 mm2の三角錐状のゴム柱に接着したフィルタFBG(長さ10 mm、反射中心波長1549.1 nm)に曲げを与えながら反射光特性を観測した。 二種類の曲げ方法について実験を行った。まず、フィルタFBGの両端から15 mmの位置を二点で支持し、ゴム柱の端から25 mmの位置を±3 mmまで曲げ、反射光測定を測定した(二点支持)。次にフィルタFBGの片端から15 mmの位置を固定し、他方の片端15 mmの位置を±3 mmまで曲げ、同様に反射光特性を測定した(片端固定)。半値幅の変化量は、二点支持で最大2.5 nm、片端固定で最大1.3 nmであった。曲げ変位に対する半値幅の変化量の最大値は二点支持では1.0 nm/mm、片端固定では0.25 nm/mmであり、その比は約4:1であった。二点支持の方が半値幅の制御可能範囲が広いものの、折損の可能性も高くなる。曲げ方向に関しては、半値幅の変化量が二点支持、片端固定とも負方向より正方向が20%程度、大きくなったが、最終的には反射中心波長変化の方向を考慮して決定する必要がある。フィルタ用FBGの半値幅を拡大すれば測定範囲は拡大するものの測定感度は低下し、測定範囲と感度はトレードオフの関係にあるといえる。また、本方法を用いる場合、予めフィルタFBGとセンサFBGとで反射中心波長が異なるものを使用する必要があることがわかった。測定範囲を確保するため半値幅を拡大した場合、反射中心波長も同時に変化するからである。フィルタ用FBGの反射中心波長と半値幅を個別に制御できることが理想的であり、曲げを与えると同時に温度を調整することによって可能だと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定通り、一対のFBGを用いて光学的な振動検出は実現できているものの、順調な進捗状況とはいえない。振動検出部であるセンサFBGは、反応性イオンエッチングにより非対称断面に微細加工したFBG(グレーティング長さ:5mm)をガラスマイクロキャピラリー(長さ:10mm)に挿入したうえで、根元部分を接着固定して片持ち梁状の振動子としている。この製作過程で光ファイバの折損、センサFBGが完成した場合でも振動検出感度の不良があること等が起因している。振動検出感度の不良はセンサFBGの根元形状(ガラスマイクロキャピラリーとの接着形状)に強く依存していると考えられる。また、今年度から加振用に導入している小型振動発生機の振動状態(参照用、速度、変位、加速度等)を正確に採取できていない点にも課題が残る。振動発生機の振動部が小さく、従来使用していた汎用振動リニアセンサが装着できないためである。
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今後の研究の推進方策 |
現状の課題について分析し、以下の方策により研究推進を図る。 1.センサFBGの振動損失を低減させるため、ガラスマイクロキャピラリーとの接着に用いる接着剤、接着方法を見直す。具体的にはマイクロキャピラリーを垂直に立てた状態で設置し、液体接着剤を用いエッチングFBGと接着する。 2.薄板ばねに装着したFBGを、別タイプのセンサFBGとして追加で検討し、これに対しても実験を行う。 3.小型振動発生機の振動状態を参照用に測定する方法として、レーザー変位計等の導入を検討する。センサFBGで検出した振動信号との照合、比較を行い、測定結果の評価を行う。 4.センサFBGの振動測定範囲、直線性を評価するとともにそれらの特性の改善を図る。
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