研究実績の概要 |
FBG を用いて振動を測定する一般的な方法としてレーザ復調方式と光フィルタ復調方式の2種類があるが、各々に温度依存性、測定精度に帯する課題がある。これらの課題を解決すべく非対称断面をもつ FBG をセンサとして振動の測定を行った。グレーティング部を含む領域のクラッドに対し側面一方向から異方性エッチングを行い非対称断面に加工したFBG、板バネに接着した FBG の2種類を振動センサとして用いた。エッチング型(クラッド厚さ:10-20μm程度、長さ:7.5mm, 10mm)では2μm程度の測定精度で振動を測定でき、測定精度については板バネ型より1桁程度、優れているとの結果が得られた。しかしながら、機械的な脆弱性があり、測定可能な振幅の範囲は20μm程度に制限された。一方、板バネ型(SUS304、長さ20mm、幅2mm、厚さ0.2mmの板バネにFBGを接着したもの、長さ:7.5mm, 10mm)においては測定精度が20μm程度であったもののエッチング型にあった脆弱性の問題は解決した。直線性、応答性においては両者に大きな差は見られず、応答性、測定の正確性に関しては課題が残る結果となったが、その理由はいずれも共通で片持ち梁というセンサ構造に起因するものであった。センサFBGと復調FBGの反射光波長整合性を調整すれば直線性は改善されると考えられる。 周波数特性は主に、センサFBGを装着した金属板とその固定方法に依存していると考えられる。しかし、周波数を固定(20Hz, 50Hz, 100Hz)した場合だけでなく、20kHz程度までの周波数成分を含むホワイトノイズにおいても振動の測定ができている。また、両FBGの反射光スペクトルの波長整合性を改善すれば、直線性および測定精度を改善できる可能性もあるため、応答性や測定の正確性について許容範囲内であれば、振動測定に適用できるものと考えられる。
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