研究課題/領域番号 |
16K06170
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研究機関 | 兵庫県立工業技術センター |
研究代表者 |
才木 常正 兵庫県立工業技術センター, その他部局等, 上席研究員 (80470227)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 弾性表面波 / 圧電材料 / 粉体 / 粒子 / マニピュレータ / アクチュエータ / 乾式 |
研究実績の概要 |
昨年度、弾性表面波(SAW)アクチュエータを傾けて微小物体(粉体)に重力を利用して外力を与えることで、今まで移動させることができなかった絶縁体の粉体種を移動できることがわかった。更に、水平状態で移動できなかった粉体の挙動をミクロ的に調べたところ、個々の粒子がその場で止まっているのはなく全ての粒子がSAW伝搬面上で様々な方向へ移動し拡散していることもわかった。そこで今年度は、SAW伝搬面上でのSAWの振幅についてレーザドップラー振動計を用いて調べた。その結果、基板端からのSAW反射で非常に複雑な定在波が存在していることがわかった。この定在波が原因でSAWにより一方向に効率的に粒子を移動できていないことが明らかになった。このような複雑な定在波の存在下においては正確に粒子を位置制御(マニピュレート)することは難しいと考えられる。そこで次年度に、SAWの反射を無くすためのアブソーバー等について検討し、この問題を解決する予定である。 上記以外にも、今年度は本研究の最終計画である応用分野でのSAWの利用についても検討した。具体的な応用分野としては、惑星生命探査における分析を考えた。この分析においては、惑星から採取した粉状の土の一部をSAWでマニピュレートして微量溶液中に入れ、化学分析を行うことで微生物を検出する。この化学分析を高感度に行うためには、粉状の土と微量溶液を効率的に攪拌する必要となる。そこで、マニピュレートだけではなく、攪拌にもSAWアクチュエータを利用の有効性について調べたところ、SAWにより攪拌があることがわかり、電気化学分析の感度が上がることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
SAWによって様々な微小物体を一応操作(移動)可能になったが、操作領域(輸送路)で非常に複雑なSAWの定在波が存在したため、精密に微小物体を位置制御できる段階にまでは至っていない。しかしながら、吸収体等を検討することでこの定在波を無くすことができれば、研究は一挙に加速すると我々は考えている。
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今後の研究の推進方策 |
水平状態でも微小物体を高精度に操作可能とするために、SAWの吸収体等について検討する。そして、定在波が無視できるようになった暁には、SAWを用いた乾式マイクロマニピューレーターのプロトタイプを製作する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、予定していた学会に参加しなかったため、その参加費と旅費が不要となった。次年度、本研究の成果を学会で発表する予定である。
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