研究課題/領域番号 |
16K06173
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
松田 健一 茨城大学, 工学部, 准教授 (30302326)
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研究分担者 |
近藤 良 茨城大学, 工学部, 教授 (90186867)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 磁気浮上 / 磁気軸受 / セルフベアリングモータ / ホモポーラモータ / 両心補助人工心臓 |
研究実績の概要 |
本研究では、両心補助人工心臓に適用可能な、小型で高い安定性を有し、両心を独立に駆動可能な5軸制御セルフベアリングモータを開発する。一つのモータで左心、右心の流量を独立に増減させる場合、ポンプの回転数を増減に加え、両側のポンプに連結したシャフトを軸方向に移動させ2次流れの増減により流量を調整する。したがって、開発するモータは、軸方向のサーボ機能を有する必要があり、軸方向制御に新方式のアキシャル磁気軸受を導入し、これまで配置できなかったホモポーラモータの中央部に一体化して配置することで、小型化と5軸制御の高性能化を実現するとともに、トルク特性およびモータ効率の改善が可能な、ホモポーラ・コンシクエント統合型の構造を採用する。ポンプは、左心13,300Pa(100mmHg)、右心2,660Pa(20mmHg)の吐出圧力と、定常的に5L/minという流量を確保する必要があるため、40mNmのモータトルクおよび安全性を考慮し自重の5倍である5Gの加速度に耐えられる制御力を目標値とする。 解析に基づき製作した実験装置によるモータ特性実験において、回転速度3500rpmにおけるモータ効率が52%を示し、これまでのホモポーラ型に対し約1.5倍の効率改善を確認した。浮上回転実験では、片側を玉軸受で固定した2軸制御浮上回転実験において、安定した浮上回転が可能であることを確認した。さらに、径方向の4軸制御による浮上回転実験を行い、3000rpmにおける最大変位が0.012mmと高い安定性を示すことを確認した。 今後は、軸方向の受動安定特性およびサーボ制御特性について解析と実験により明らかにすることで、両心補助人工心臓ポンプに適用可能な高い安定性を有するホモポーラ・コンシクエント統合型5軸制御セルフベアリングモータの完成を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、新方式のアキシャル制御用ユニットをホモポーラモータの中央部に配置するとともに、突極を有するロータ両側の浮上回転制御用ユニットには突極間にコンシクエントポール用の永久磁石を配置することで、小型化と高い信頼性を有しトルク特性の大幅な改善が可能な両心補助人工心臓用5軸制御セルフベアリングモータの開発を目的としている。 これまでに、5軸制御セルフベアリングモータの基本設計と解析を行い、 解析に基づき製作した実験装置を製作し、モータ特性実験および4軸浮上実験を実施した。モータ特性実験において、回転速度3500rpmにおけるモータ効率が52%を示し、これまでのホモポーラ型に対し約1.5倍の効率改善を確認した。浮上回転実験では、片側を玉軸受で固定した2軸制御浮上回転実験において、安定した浮上回転が可能であることを確認した。さらに、径方向の4軸制御による浮上回転実験を行い、3000rpmにおける最大変位が0.012mmと高い安定性を示すことを確認した。 以上のことから、予定通りの進捗状況と言える。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに、軸方向の制御は行わず径方向4軸制御による浮上回転実験を実施した結果、実際に使用予定の回転数3,000rpmにおいて、径方向の最大振幅が0.012mmと安定した回転特性を持つことが確認できた。 今後の残された課題は、軸方向の受動安定特性および軸方向のサーボ制御特性について解析と実験により明らかにするとともに、軸方向サーボ制御時においても安定した浮上回転が可能であることを確認することである。以上の課題を解決することで、両心補助人工心臓ポンプに適用可能な高い信頼性を有するホモポーラ・コンシクエント統合型5軸制御セルフベアリングモータの完成を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 当初予定していた物品について、安価に購入できたため端数が生じた。 (使用計画) 平成30年度支払い請求額とともに、当初の予定通り使用する。
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