本研究では、両心補助人工心臓に適用可能な、小型で高い安定性を有し、両心を独立に駆動可能な5軸制御セルフベアリングモータを開発する。一つのモータで左心、右心の流量を独立に増減させる場合、ポンプ回転数の増減に加え、左心と右心のポンプに連結したシャフトを軸方向に移動させポンプの2次流れを変化させることにより流量を調整する。したがって、開発するモータは、軸方向のサーボ機能を有する必要がある。そのため、軸方向制御に新方式のアキシャル磁気軸受を導入し、ホモポーラモータの中央部に一体化して配置する構造を採用し小型化と5軸制御の高性能化を実現する。 これまでの実験において、回転速度3500rpmにおけるモータ効率が52%を示し、単純なホモポーラ型に対し約1.5倍の効率改善を確認するとともに、軸方向を受動安定性によるフリーな状態で径方向の4軸制御による浮上回転実験を行い、3000rpmにおける最大変位が0.012mmと高い安定性を示すことを確認した。 最終年度は、本研究の最も重要なポイントである軸方向の受動安定特性およびサーボ制御特性について解析と実験を行った。その結果、受動安定支持のためのバネ剛性が0.33N/mmという良好な値を持つことを確認した。さらに、軸方向に0mmから0.5mmまで0.1mm間隔で位置指令を与える、5軸制御サーボ特性実験を行った。回転数3000[rpm]、軸方向変位 0.5[mm]において、径方向の最大変位が0.0146mmであり、軸方向変位を与えても高い安定性を示すことを確認した。以上の結果より、本研究で提案したホモポーラ・コンシクエント統合型5軸制御セルフベアリングモータが、両心補助人工心臓ポンプとして十分に適用可能な高い性能を有することを確認した。
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