研究課題/領域番号 |
16K06180
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
山田 宏尚 岐阜大学, 工学部, 教授 (80240034)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 遠隔操作 / 建設機械 / 画像取得・提示法 / ドローン / 人間機械システム |
研究実績の概要 |
建設機械の遠隔操作を想定し,フォークグラブ位置や建設機械の駆動力から作業の状態を自動的に判断し,ドローンを最適な視点に移動させ映像の提示を行うための基本となるシステムを構築し,その有効性について検討を行った.さらに,作業に応じた適切な視点から作業環境の映像を撮影・提示する手法を検討することで,従来のシステムでは取得の難しい視点からの映像を操作者に提示するシステムの構築を目指した. まず,作業に応じた最適な視点へドローンを自動的に移動させるために, ①フォークグラブが物体を把持したとき,指定した位置に移動する.②フォークグラブの位置に応じて指定した位置に移動する.③常にフォークグラブを追尾し続ける.の3パターンについて検討した.また,視点が移動しない場合と比較してシステムの有用性を検討するため,ドローンを移動せずにホバリングする場合も加えて,作業対象物であるブロックの運搬作業を行った.被験者は6名で,作業精度,作業時間,NASA-TLXとアンケートを用いた精神的負荷によって評価を行った.その結果,①の移動法を用いた場合は③と比較して作業精度の向上,精神的負担の軽減が認められ,本システムの有用性が示唆された.一方,②の移動法を用いた場合は③と比較して作業精度,精神的負担はほぼ同等であった.また,ドローンを用いた視覚補助において,作業に応じた視点からの映像は作業精度の向上及び精神的負担の軽減に有効であることが明らかとなった. 上記に加え,映像の死角低減,作業精度並びに作用効率の向上,精神的な負担の軽減を可能にする,ドローンを用いた映像提示システムについての検討および,ドローンを利用した接触事故防止システムについての基礎実験を行い,その有効性の検証を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の計画に従い,市販のドローンを用いてパソコンから操作できるように制御プログラムを作成した.パソコンから無線LANを介してドローンへ制御信号を送り,撮影されたビデオ映像をパソコンで受信し,映像を解析し,最適なホバリング位置の制御を行った.また,操作レバー入力およびパワーショベルの挙動からアーム先端の動きを予測し,ドローンを移動制御し,なおかつ作業対象を撮影しやすい位置でホバリングさせるための基本的な制御システムを構築した.位置制御ではドローン本体に内蔵の各種センサおよびビジョンベースARと呼ばれる画像解析による位置取得手法を補助的に用いて制御を行った.これに基づき,ドローンによるいくつかの画像提示アルゴリズムを提案し,その有効性について比較検討することができた. 以上の理由により,おおむね順調に進展していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
前年度で確立したドローンの最適撮影位置制御法を発展させ,人間の視覚特性を考慮した画像提示法および歩行者・作業者との接触事故防止への応用について検討する. また,ドローンのカメラで操作者に最も適切な映像提示を行うための安定的な姿勢制御について検討する.そして構築したシステムの有効性を実験により検証していく. さらに,オペレータの視線方向および頭部の移動方向に応じてドローンの位置を平行移動させ,運動視差の提示を行うシステムを構築する.加えて,作業安全性の向上のために広範囲映像を取得するドローンにより建機周辺にいる人物を上空から画像認識し,建機周囲に人物が近づいているとアラームを鳴らす等の警告を画像や音声案内により提示するシステムを構築する. 上記システムを用いて,複数の被験者に対して,特定の作業を行ってもらい,通常の映像システムと,本提案の映像システムとの作業効率の比較を行う.また,画像提示領域をどの作業フィールドに対応させれば最も効率の良い作業が行えるかについても検討・評価を行う.
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