本研究では,ロボットによるダイナミックな作業動作に対して,特異姿勢の力学的な性質を調べ,その有用性を,解析,数値シミュレーション,実機実験を通して明らかにした.ロボットの特異姿勢とは,例えば2リンクアームであれば,アームが真っ直ぐに伸びた状態である.従来のロボット制御では,この特異姿勢を避ける傾向にあるが,本研究の結果によれば,重量物運搬などのダイナミックな作業動作においては,特異姿勢を利用して消費関節トルクを低減して作業達成が可能である.いくつかの具体的なロボット作業動作を考え,ロボットが持つ関節の数や自由度,行う作業に応じて,多様な特異姿勢の性質とその利用法があることが分かった.
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