研究課題/領域番号 |
16K06187
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
熊澤 典良 鹿児島大学, 理工学域工学系, 准教授 (60284907)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ジャイロモーメント |
研究実績の概要 |
運動の支援およびその能力の向上を目的として,ジャイロモーメントによる力覚呈示デバイス(IARDG: Intelligent Assistive and Resistive Device using Gyromoment)を用いた運動支援装置の開発と改良を行ってきた.IARDGを身体に装着する上で装置の軽量化が課題であったが,フライホイールや駆動部など全てを設計し直すことで,当初の4分の1程度まで軽量化することが出来た.開発中のIARDGを下肢に装着することによって,歩行および疾走動作を支援することを確かめるために,新しく下肢を模したモデルをスライダクランク機構を用いて作製して評価実験を実施した.シミュレーションおよび実験から,提案する装置によって運動を支援する場合には,疾走及び歩行時の股関節の回旋運動のピッチが速まるとともにエネルギーの消費が抑えられる効果のあることが明らかになった.さらに,IARDGの制御プログラムを切り替えるだけで運動の負荷を高めることもできるので,レジスト走などのトレーニングにも応用できることがわかった. 開発したIARDGの知見について,特許出願するとともに国内学会で口頭発表をおこなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
IARDGの開発についてはおおむね順調に進展しているが,ドロップジャンプのモデル化における部分については遅れている. これまで筋骨格モデルを用いてドロップジャンプのモデル化の検討を続けてきたが,伸長-短縮サイクル(SSC: Stretch-Shortening Cycle)運動の要素(筋の予備緊張)を含有させることが難しいことがわかった.さらに,ドロップジャンプでは,SSC動作によって素早く切り替えて跳ぶ場合と膝や腰を少し深く曲げて跳ぶ場合があり,後者の方がより高くジャンプできる.SSC動作に見られる着地前の筋の事前収縮によるEMGを跳躍高によって評価しようとしてきたが,最大努力のジャンプを要求された被験者は後者を選択する傾向が高く,SSCによるジャンプの評価法には更なる工夫が必要であることがわかった.
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今後の研究の推進方策 |
概ね,当初の研究計画調書に従って研究を実施していくが,ドロップジャンプのモデル化については,仮説が見込み違いだった可能性が高いので,モデルの同定方法を見直すとともに測定方法の検討を行う. IARDGの小型化と軽量化についての目処は立ったので,身体への装着方法について検討していく.類似のロボットスーツや支援装置の情報を集めるとともに,市販のスポーツ用のサポーターをベースとした開発を行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究が遅れているので,予定していた機器の購入を見送ったことと,被験者に対する謝金の支払いが無かったから.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度,機器を慎重に選定して購入する.
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