研究課題/領域番号 |
16K06193
|
研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
日高 浩一 東京電機大学, 工学部, 教授 (10321407)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | HEV駆動部モデル / MPC / モデル化誤差 |
研究実績の概要 |
2016年度は以下の内容に関する研究を実施してきた。 1.燃費走行実験を行うためのシミュレータ用ソフトウェア(3Dソフトウェア・UC-Win)を購入し、このソフトウェアと制御対象であるMATLAB/Simulinkで作成されているHEV駆動部シミュレータのリンクについて調査と実施を行った。またこの内容と共に下記の内容について検討をし,実施のための準備を行ってきた。(1) 実験ではハンドル操作による車体運動,すなわち回転運動,による風景変化が必要となるが,実機用HEV起動部モデルにはハンドル操作信号が含まれていないことから,この動作用モデル(2輪モデル)をMATLAB/Simulinkで作成しHEVモデルに組み込む。(2) 走行実験用の環境として,(i) 市街地走行などの都会での走行環境,(ii) 高速道路など専用道路走行環境,および(iii) 山道などの高低差環境,の作成をするためのプログラム開発の準備を実施。 ・HEV駆動部シミュレータの制御方法として、モデル予測制御(MPC)を使用するが、これまで開発してきたMPCではモデル化誤差が大きすぎる点が問題となっていた。そこでMPCモデルに使用するHEVモデルの再検討を実施してきた。具体的には速度に依存したモデル表現として,HEV駆動部モデルをLinear Parameter Varying system (LPV system)表現で再設計しなおした。さらに入出力データからダイナミクスを含むモデル変動をLPVモデルに組み込み、MPCモデルの精度向上を行った。なお、主に2の内容に対して検討した結果を国内学会4回,国際学会2回口頭発表を行っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シミュレータ購入が予定より遅くなってしまったが、専用ソフトウェアであることからプログラムに関する内容講習や専用スタッフからの適切なアドバイスにより、技術的な問題点に対して、適切な対応を素早く行うことができることで、環境構築に関してはほぼ順調に進んでいる。一方、既存のMATLAB内のHEV駆動部シミュレータを制御対象としていることから,横方向や回転などの自動車本来の動きのシミュレータ作成で必要な各種パラメータ値をどのように決定するかなどの問題が新たに発生したことで、全体のシミュレータシステム構築に遅れが出てしまっている。
|
今後の研究の推進方策 |
2017年度は、以下の内容について重点的に実施を行い最終年度である2018年度に実験データの取得と解析を通して、提案するHEV駆動部制御法の評価まで実施する予定でいる。 2017年度は,(1) HEV駆動部シミュレータからの車輪走行に車体モデルを組み込み,ハンドル変化とアクセル/ブレーキ操作に応じたシミュレータ装置を完成させる。(2) アクセル/ブレーキおよびハンドル各操作部分に入力する補助信号装置開発を行う。それと共に、燃費走行に有効な計器表示の開発も併せて実施する。(3) MPC用モデルにLPVモデルを使用し、このモデルに基づくMPC駆動部制御コントローラの構築とこのコントローラをシミュレータに組み込む。(4) 1~3のシステムから補助装置や信号の検討を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初予算に組み込んでいた操作補助装置開発であるが、シミュレータ作成用に使用する専用ソフトで信号を出すことが可能であることが判明した。そのためこの装置開発が不要となた。一方、所有していたシミュレータ用ディスクトップコンピュータでは3D画像と制御アルゴリズムを実装するためにはパワー不足となったため、この開発費をシミュレータ専用のディスクトップコンピュータおよび走行画面表示用のディスプレー2台の購入に変更届を提出して変更した。その結果当初予定していた購入費の差額が発生してしまった。
|
次年度使用額の使用計画 |
繰り越しした金額が少額であることを踏まえ、解析用コンピュータの増設メモリなどの追加部品購入に加えることを計画している。
|