傾向を捉えるデータの時間長,ヒストグラムの階級数,BIOGの調整粒度などのシステムパラメータが固定の状況では,性能向上の最大化が図れないことが予想される.そこで,調整前後の操作量・速度ヒストグラム,およびBIOGと作業結果などから,システムパラメータを調整する学習規範を抽出した.具体的には,変更量履歴の時系列分析からフィードフォワードを行い,誤差低減および解の安定化を図るものである.また,調整済みのBIOGに対して必ずしも人間側の順応が得られるわけではないため,操作者側からの適応を促す仕掛けを実装する.目標値と大きくずれる操作領域における操作改善を,作業状況とあわせた情報支援として提供した.さらに,操作者の主観的評価に基づくBIOG調整手法についても有用性を評価した.平成29年度では,駆動関節軸単体での単軸基本規範を構築している.操作履歴を移動ベクトル単位で捉えることで,これまで開発してきた単軸規範の拡張で対応できると考え,駆動軸間の関係性(手先の移動ベクトル)を考慮した複軸協調規範についても検討を行った. 平成29年度に行った1次評価実験から得られた知見,および,上記で開発する調整システムを統合して2次最終実験として,速度制御型のマスタスレーブを有するアームシステムを利用した長時間作業による評価実験を行った.タスクは,高速動作が求められるボールの運搬,微細操作が要求されるブロックの積み上げ,複軸の協調操作が求められる掘削の3種類で,素人から熟練操作者まで幅広い被験者に参加頂き,汎用性の評価を行った.その結果,フィードバックを提供することで,作業パフォーマンスの向上度合いが上昇することがわかった.複軸規範を導入することで,違和感の原因となる軸間の大きな異方性を減じさせられることがわかった.
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