研究課題/領域番号 |
16K06199
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
上野 哲 立命館大学, 理工学部, 教授 (40322929)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 磁気軸受 / 磁気浮上 / 永久磁石モータ / 磁界解析 / セルフベアリングモータ |
研究実績の概要 |
本研究では,ディスク型セルフベアリングモータに円筒型の磁気回路を加え,エアギャップに単極磁界を発生させることで,ロータのラジアル方向の力とラジアル軸周りの傾きトルクを発生させ,ロータの姿勢制御を行うセルフベアリングモータの開発を行っている。本方式では,1組のステータとロータでラジアル方向の力と傾きトルクを発生させることができるため,従来の方式では実現できなかったロータの片面のみにステータを配置した構造で,5軸の姿勢制御を行うことが可能となる。 平成29年度は,片側ステータ構造のモータの製作を行った。フレーム,ロータ,ステータ,コイルなどのモータの主要部品,センサホルダ,センサターゲット,タッチダウンなどの制御用部品,駆動アンプを製作した。 また,ロータの両側にステータを配置した構造では,前年度に問題となった弾性モードの影響を小さくするため,センサの配置を見直した装置を製作し,浮上回転試験を行った。その結果,従来よりも高速で回転させることに成功したが,上下のステータで得られる制御特性が異なる結果となった。今後,その原因を突き止め,解決法を検討する必要があることがわかった。 さらに,前年度に得られたラジアル方向力と傾きトルクの理論解析手法を用いて,多極ロータでの姿勢制御の可能性を検討した。その結果,ロータの極数+2極と-2極の磁界を同時に発生させることで,単一のステータで,円筒型の磁気回路を用いずに,ラジアル方向力と傾きトルクの制御が可能であることが分かった。現在,この方法が実現可能かどうか検証するため,新たな装置を設計しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ロータの片側のみにステータを配置する構造のセルフベアリングモータでは,装置の製作と試験を行う予定であった。装置の製作は完了したが,試験については,制御装置の不具合により行うことが出来なかった。現在,制御装置の修理を行っており,完了すれば直ぐに試験に取り掛かることが可能であるが,計画よりやや遅れているといえる。 ロータを両側に配置した構造のセルフベアリングモータでは,試験装置の改良を行い,浮上回転に成功したため,順調に進展していると言える。しかし,この装置で新た問題が明らかになったため,今後,この問題を解決する必要がある。 そして研究当初では,検討していなかった新たな構造のセルフベアリングモータの実現の可能性を示した。この部分に関しては新たな知見を見出すことができ,大いに進展したと言える。 以上より,全体的な進捗状況としては,概ね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
ロータの片側のみステータを配置した構造の試験装置の試験を行い,片側のみステータを配置した構造のモータで非接触浮上回転が実現可能かどうか検証する。 そして,ロータの両側にステータを配置した構造の試験装置では,現在の問題点の原因を追求し,その解決策を検討する。そして,安定した高速回転の実現を目指す。 さらに,新しい手法を用いたセルフベアリングモータを製作し,提案する手法で非接触浮上回転が実現できるかどうか検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じているが,少額であるため次年度予算と合わせて使用した方が有効に使用できると判断したため,使用しなかった。 実験装置の製作費用や部品の購入に使用する計画である。
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