研究課題/領域番号 |
16K06210
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
小田 拓也 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 特任教授 (20505929)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 電気自動車 / 充電行動 / 利用履歴 / 経年変化 / アンケート調査 |
研究実績の概要 |
本研究では,電気自動車(EV)の充電行動を明らかにすることを目的とする。つまり,充電の要否,充電場所,充電種別,充電時刻などに関する意思決定を把握し,さらには充電の可制御性を明らかにすることを目指す。これにより,EVの普及に寄与すると共に,EVから電力需給に併せた充放電を行うVehicle to Grid(V2G)の利用方策を具体的に示すことが可能となる。即ち,EVの低炭素化ポテンシャルを最大限に発揮させるため,充電行動の解明と行動変容の可制御性を明らかにすることを目指している。 先行研究の多くは,EVの電欠回避を少ない社会資本で実現することに着目して,急速充電器の配置計画問題を対象とするものが多い。一方,これらの解析では,EVの充電行動は電池残量に応じた,画一的な行動を取ることが想定される。アンケート結果を元にする調査もあるが,実際の充電行動を元にした評価は認められなかった。 本研究では初めに,充電器の実際の利用履歴を用いてEVの充電行動を大局的に把握する。さらにEVの充電行動の把握と可制御性の定量評価を行う。平成28年度は,急速充電器の利用履歴を解析することによって,急速充電器の利用頻度,充電電力量,季節変化などに関する経年変化の程度を明らかにした。また並行して,EV利用者に対するアンケート調査を設計し,実施した。利用履歴とアンケート結果の双方を用いて統合的に解析するため,特徴量の抽出などを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
充電器の利用履歴の入手は,概ね予定通り実施された。更に広範な履歴の入手にも努めたが,実現しなかった。入手した履歴の解析は,概ね予定通り実施された。解析結果に疑義が生じたため,当初予定とは異なる検討を行い有益な結果を得た。充電器の特徴量を抽出して分類することも予定通り実施したが,有益な結果が得られなかった。また計画通り,シミュレーションモデルの構築に着手した。概ね,当初の計画通りの進捗となっている。 履歴の時系列解析や分類を通じて,シミュレーションモデル構築の作業を先行して進めることが重要であると判断した。このため,経済評価は計画通り実施しなかった。代わりに,交通量データを入手して解析に着手した。 実施計画を個別に見ると,計画通りに進んだもの,計画以上に進んだもの,前段で有益な結果が得られなかったために実施中段したもの,などがある。総合的にみて,おおむね順調に進展した,と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
計画通りに実施する。 平成28年度に入手した利用履歴,アンケート結果,交通量データなどを用いて,相互の因果関係を評価することが次年度の課題となる。これを推進するため,多変量解析,統計解析,基礎シミュレーションなどを実施する。これにより,EVの充電行動を多角的な視点で捕らえ,行動変容などの可能性を探ることを可能にする。
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次年度使用額が生じた理由 |
複数の企業から急速充電器の利用履歴を入手することを想定したが,1社から入手することが困難となったため,作業経費の支出が困難となった。また研究補助者の確保が困難となり,一部の支出ができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
利用履歴の入手は継続して調整を行う。次年度に支出できるようにすることを目指す。研究補助者の確保に代わり,一部の作業を外部委託することなどにより実施することを検討している。これらにより当初の支出目的は変更せず,手法を変えるなどして実施することを予定する。
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