研究課題/領域番号 |
16K06213
|
研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
芳賀 仁 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (10469570)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | パワーエレクトロニクス / 電解コンデンサレス / 系統連系インバータ |
研究実績の概要 |
提案する電解コンデンサレスインバータをシミュレーションにより検証した。本課題では、系統連系インバータに用いられる電解コンデンサの使用を無くして、インバータの制御によっ太陽光発電パネルと単相電源系統のパワーデカップリングを実現するものである。 今年度は、TタイプNPCインバータを連系インバータとして採用して、電源系統の電圧位相に応じて中性点電位を制御することでパワーデカップリングを行う。そして連系する電流波形を正弦波にする制御も行う。電解コンデンサを用いなくても提案するパワーデカップリング制御法を用いることで直流電圧脈動と系統側の電流波形の正弦波が実現できた。従来の制御法と比較して直流リンクに生じる電源周波数の2倍成分を65%低減できることを確認できた。しかしながら、系統電圧のゼロクロス付近で電流波形の歪みが観られた。これにより、パワーデカップリング性能が悪化するため、完全なリプル電圧の抑制には至っていない。 次に、実験装置の作成による効果の検証を行った。実験でもシミュレーション同様の効果が確認できた、変換効率は約400W出力において85%であった。この原因として、電圧利用率の問題がある。提案手法はパワーデカップリングにむけた中性点電位の制御と系統電流制御を両立させるために直流リンク電圧を高くする必要がある。そのためスイッチング損失の増加とリアクトル損失の増加が生じた。実験により提案システムの電力変換効率の影響を明らかにできた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画では、シミュレーションによる原理検証を計画としていたが、実験装置の開発ならびに実験検証まで実施できた。また実験により電力変換効率の影響、電圧利用率の影響などの提案システムの新たな課題についても鮮明になった。したがって、当初の計画以上に進展しているといえる。
|
今後の研究の推進方策 |
シミュレーションおよび実験により、電圧利用率と系統電流歪みの課題が明らかになった。今後は、これらを解決する制御法の検討を行う。具体的には、系統連系インバータのPVパネル側のチョッパ回路の制御と連成した提案システムの優位性を検討する。またPWMパターンによる波形改善についても検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初、プロト機の試作を予定していたが、実験に必要な素子などを低コストのマイコン、ディスクリート品、研究室保有のリアクトルなどを用いることができたため支出額が減額して次年度使用額が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
28年度の研究を通じて、提案システムの課題が鮮明になった。その対策を平成29年度は実施するが、そのために、高精度のコントローラなどが必要になる。コントローラの購入経費として予算執行を計画する。
|