本研究では,系統連系インバータの高電力密度化,低コスト化,メンテナンス低減に向けて,単相インバータの直流バスに用いるコンデンサ容量を従来比の1/20以下にしても,従来システムと同等の出力電流波形と直流電圧リプルを得る制御法を開発する。 昨年度の研究を通じて、提案する電解コンデンサレスインバータにおいて、系統電圧のゼロクロス付近でパワーデカップリングに必要な電流を確保できなく、直流電圧のリプル電圧の増加の課題が明らかになった。 そこで、本年度は、本研究で想定する太陽光発電システム全体でリプル抑制の検討を行った。 具体的には、電解コンデンサレスインバータの直流側に、絶縁型DC-DCコンバータを用いて、コンバータによるリプル電圧の抑制制御と、電解コンデンサレスインバータのパワーデカップリングによるリプル電圧抑制についてシミュレーションで検討した。絶縁方DC-DCコンバータの構成としてLLC共振コンバータを採用した。まず、LLC共振コンバータによる太陽光パネル側の電流リプル抑制の検討として、周波数制御と位相シフト角制御を用いたフィードバック制御法を検討した。検討した結果、位相シフト角制御によるリプル低減の効果が大きいことが確認できた。 その結果を用いて、電解コンデンサレスインバータと統合して検証した結果、リプル抑制制御によって直流電圧のリプル率を10.0%まで抑制でき、そして太陽光パネル側に流れる電流のリプル率も2.75%まで低減できる結果が得られた。 また、実験検証の準備も進めており、絶縁型DC-DCコンバータおよび電解コンデンサレスインバータの作成まで終了している。
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