本研究は,特に再生可能エネルギー利用電源(RE電源)などに起因する不確実さへの対処方策を重視して,需給安定性,環境性ならびに経済性を高い次元で共立する需給マネジメント技法を創案すると共に,実験と計算機シミュレーションの両面からその有用性を実証することを目的とした取り組みである。現行の需給運用方式でRE電源をどこまで活用できるのか,更なる活用にはどのような要素がどれだけ必要になり得るのかを数理的制約充足性の見地から明らかにすることで,合理的な電源運用,RE電源・電力貯蔵装置導入戦略を見出すと共に,確定的アプローチや確率的アプローチを適切に組み込んだ新しい需給マネジメント技法を創案・検証を行ってきた。応募時の計画は,平成28年度は需給マネジメントの試作技法の構築,平成29年度以降は試作技法のマイクログリッドシミュレータへの実装,現状で実現し得る最良の需給マネジメントの探求から次世代需給マネジメント手法の創案・実証であり,当初の計画通りに研究を遂行できたと考えている。これらの成果は,国内会議(電気学会電力・エネルギー部門大会,電気学会全国大会など),国際会議(International Conference on Electrical Engineering,International Workshop on Power Engineering in Remote Islandなど)にて発表すると共に,学術雑誌(電気学会電子・情報・システム部門誌,Journal of International Council on Electrical Engineeringなど)に投稿するなどして積極的な公開に努めた。これらから,本研究の目的を達成できたと考えている。 平成28年度は国内会議にて3件の成果を発表し,学術雑誌に1件の成果が掲載された。平成29年度は国内会議にて7件,国際会議にて6件の成果を発表した。平成30年度は国内会議にて4件,国際会議にて3件,学術雑誌に3件の成果が掲載された。
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