研究課題/領域番号 |
16K06223
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
平木 英治 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (20284268)
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研究分担者 |
梅谷 和弘 岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (60749323)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | GaN / 連鎖的誤動作 / 発振回路 / パワーデバイス |
研究実績の概要 |
パワーエレクトロニクス分野では,次世代パワー半導体素子として超高速動作かつ低オン抵抗のGaNデバイスが注目されており,小型・高効率の電源開発には必須のアイテムとなりつつある。一方,自らの高速スイッチング特性が引き起こすノイズによる誤動作等扱いにくく,実用化にむけた大きな障害となっている。 本研究の目的は,GaN-FET特有の連鎖的誤動作を抑制する回路配線設計手法を開発することにある。これまでに,連鎖的誤動作を誘発する主要因がパワーデバイスを実装した回路基板に存在するゲート駆動回路と電力回路間に存在する共通ソースインダクタンス(CSI)であることを突き止めた。 これを受けて,H29年度は,パワーデバイスを実装した基板のCSI値とパワーデバイス自体が有する寄生容量の比率が特定の範囲内に収まれば連鎖的誤動作を抑制できることを理論的につきとめ,この理論が正しいことを実験的に証明した。この研究過程で,初年度に開発したCSI計測手法をさらに改良し,サブnHオーダのCSI値を的確に計測することが可能な技術を構築した。 さらに,H30年度の計画を先取りする研究にも一部着手した。すなわち,回路基板パターンを工夫し,ゲート駆動回路と電力回路の位置関係を変えることで,パワーデバイスの連鎖的誤動作の発生条件を変えることが可能であること,すなわち基板デザインに拠って連鎖的誤動作を抑制しうることを実験的に確かめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
下記の理由により,本研究は概ね順調に進展していると考えている。 (1)H29年度の実施目標であった連鎖的誤動作の出現条件を理論的に解析し,明らかにすることができた。 (2)H28年度に開発した共通ソースインダクタンスの計測手法をさらに改良し,サブnHオーダーの値を的確に計測する技術を構築することができた。 (3)H30年度の研究計画を一部先取りし,回路基板パターンに拠ってパワーデバイスの連鎖的誤動作を抑制しうることを確かめることができた。
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今後の研究の推進方策 |
H30年度は,回路基板パターンによってパワーデバイス自体に損害するCSIを含むゲート駆動回路と電力回路間のCSIを的確に制御する回路パターン設計のノウハウを構築する。 これまでに培ってきた回路設計技術やCSI計測技術を駆使し,回路パターンの引き回しによりCSIの発生量を抑制する。そのキー技術はゲート駆動回路と電力回路間に存在する磁気結合の制御であると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
差額は328円であり,事実上計画通りの運用をしている。
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