昨年度までの成果から,連鎖的誤動作を防止するためには所望のCSIを設計する技術が求められる.そこで,CSIの一部がゲート配線とドレイン配線の磁気結合に依存することに着目し,PCBのレイアウトによるCSI設計が可能であるかを実験的に評価した. 寄生磁気結合の極性及び度合いが異なる5つのPCBを用意して,それぞれのCSIを比較した.回路のゲートループ経路及びドレイン電流経路は,PCBの表面と裏面において配線が並走する.この部分で電磁誘導が起こり磁気結合する.また,配線間の磁気結合の大きさは並走する配線長に比例する.従って,並走する配線の電流方向と配線長を変更することで磁気結合の極性及び度合いを変えた. 評価の結果,磁気結合の無いPCBのCSIと比較するとそれぞれのPCBが持つ磁気結合の極性及び度合いに対応してCSIが変動することが確認できた.このことから,PCBレイアウトによりCSIの大きさを設計できることがわかった. また,連鎖的誤動作を抑制するために設計すべきCSIの大きさは,PCBレイアウト設計によるCSIの変動と同程度のオーダーである.このことは,適切なPCBレイアウト設計により,連鎖的誤動作を防止できることを示唆している.
|