研究課題/領域番号 |
16K06230
|
研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
村松 和弘 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30263627)
|
研究分担者 |
高 炎輝 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40586286)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 磁界解析 / 構造解析 / 応力 / 鉄損 / 誘導機 / 磁気特性 |
研究実績の概要 |
本研究課題では,応力テンソルを考慮した磁界・構造併用解析による鉄損計算法を開発するとともに,誘導機に適用して,応力による鉄損増加のメカニズムを明らかにし,その低減を図る. 昨年度は,応力を考慮したヒステリシスのモデリング手法では磁界エネルギーに基づくモデリング手法が必要となるため,自由エネルギーを用いたモデリング手法を開発した.しかしながら,本モデリング手法は実測のマイナーループを再現するためにはパラメータの調整が必要であり,本研究課題のモデリング手法として採用することが困難であった.また,誘導機の鉄損増加要因を明らかにするため,鉄芯の積層構造を考慮した誘導機の鉄損解析を行ったが,積層構造による鉄損の増加は小さかった. そこで本年度は,本研究課題に適した磁界エネルギーに基づくヒステリシスのモデリング手法の開発を,再度,調査研究から行ったが,未だ開発できていない.一方,鉄芯中の応力計算に必要な局所的な力の分布を算出するためのマクスウェルの応力テンソルの表現方法について検討し,新しい表現方法を提案した.さらに誘導機の鉄損計算の精度を向上させるため,回転磁界を考慮した簡易鉄損解析について検討し,従来の回転磁界を座標軸で分解し鉄損を求める方法ではなく,回転磁界を長軸と短軸方向に分解して鉄損を求める方法が優れていることを明らかにした.また,誘導機の回転子に施されるスキューを考慮した磁界解析を可能にするため,従来の格子状の非適合分割を用いた磁界解析法を斜めの非適合辺が考慮できるように改良した.これにより,上記,本研究課題に適した磁界エネルギーに基づくヒステリシスのモデリング手法が開発できれば,本研究課題が達成できる準備が整った.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題では,応力テンソルを考慮した磁界・構造併用解析による鉄損計算法を開発する必要があるが,この解析法に必要な磁界のエネルギーに基づくヒステリシスのモデリング手法が未だ開発できていない.一方,本研究課題の最終目的である誘導機の鉄損低減に必要なスキューを考慮した誘導機のモデリング手法,回転磁界を考慮した鉄損計算法が開発でき,さらには鉄芯内の応力分布の計算に必要な局所的な力の分布を算出するための新しいマクスウェルの応力テンソルの正しい表示法も明らかにできたため,遅れてはいるが,現在開発中である応力を考慮したヒステリシスのモデリング手法が開発できれば,研究期間内に本研究課題を達成できる.
|
今後の研究の推進方策 |
平成30年度は,最終年度となるため,応力を考慮したヒステリシスのモデリング手法の開発が必須である.そのため,これまで検討してきた磁界のエネルギーに基づくヒステリシスのモデリング手法だけでなく,本研究で既に開発済みである数学的なモデリング手法を応力の影響が考慮できる手法に改良することも検討する.そして,開発した応力を考慮できるヒステリシスのモデリング手法を,本研究で開発したスキューを考慮した誘導機のモデリング手法に実装するとともに,回転磁界を考慮した鉄損計算法も適用して,誘導機の鉄損解析を行い,その低減方法を明らかにする.
|
次年度使用額が生じた理由 |
【理由】当初,応力を考慮した磁気特性のモデリング手法を開発終了後,膨大な計算時間を要する誘導機の鉄損解析に適用するため,専用の数値解析用計算機を購入する予定であったが,現在,モデリング手法の開発中であり,平成29年度は専用の数値解析用計算機が必要なかった. 【使用計画】平成30年度,応力を考慮した磁気特性のモデリング手法を開発終了後,膨大な計算時間を要する誘導機の鉄損解析に適用するための専用の数値解析用計算機を購入するために使用する.
|