研究課題/領域番号 |
16K06236
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研究機関 | 工学院大学 |
研究代表者 |
高木 亮 工学院大学, 工学部, 准教授 (70272383)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 電気鉄道 / 高頻度化 / 信号システム / 車上分岐 / 移動閉塞 |
研究実績の概要 |
サンプルの偏りはあるものの,大学の公開日などにおける来客に対して「高度な鉄道」についてのアンケート調査を行った。その結果,鉄道の高度化ということに関してはおおむね予想どおりのイメージを一般市民が抱いていることが明らかになった。ただし,冷房の寒さなど,本研究それ自体には直接関係しないものの,日本の鉄道事業者が現在あまり重視しているとはいえないものの利用者が気にする可能性がある項目もいくつか浮かび上がってきた。 また,UCRT(超高度化鉄道システム)に関する検討を研究計画に従い進め,その途上において得られた知見について国際学会において1件,国内学会において6件の口頭発表を行った。 今年度得られた知見のうち特に注目すべきものは,車上分岐が鉄車輪・鉄レールを用いる普通鉄道において当面実現しないことを見越して「疑似車上分岐」と称する回避方法を考案し,その評価を行ったことである。疑似車上分岐とは,通常単一の減速性能のみの存在を前提に行われる列車間安全距離の計算において,分岐装置手前において例外的に高減速モードを切り替えで用いることで,車上分岐と同等の走行方法を地上分岐のまま実現しようとするアイディアである。このアイディアの評価を通じ,車両の位置検知の精度向上や検知遅れの極小化の高頻度化における重要性があわせて示されたが,これは今後この種のシステムを実用化する上で取り組むべき課題とその順序についての重要な知見となる。 また,超高頻度運行計画の作成手法に関しては蓄積された知見というものがあまりないが,今年度の研究により合流・分岐駅における列車順序と得られる列車頻度の関係について新たな知見を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
事務補佐の職員の手配,計算機の手配等に大幅な遅れが生じている。これは,研究課題の進捗状況から想定した事務業務や計算資源の必要性が生じなかったことによる。次年度早々にこれら問題を解決する予定である。研究成果は想定より多めに得られたと考えられ,全体としては問題ない状況であるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
上記の進捗状況の遅れを回復するとともに,計算機資源を利用した研究の深度化を急ぎ進める。このため,計算機発注等の事務手続きの遅れがないよう努める。 アンケート調査については次年度も継続して取り組み,高度な鉄道について,一般的な要望等の知見を引き続き集めるように努める。 これ以外の研究活動については,おおむね順調に推移しているため,その推進を引き続き行うとともに,成果の適時適切な公開のため論文執筆等に関して遅れ等がないよう努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
機材購入および事務補佐職員の手配が遅れたため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度において機材購入と事務補佐職員の手配を行う。
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