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2017 年度 実施状況報告書

プリント回路基板周辺の電磁ノイズ抑制素子の開発とその実用化

研究課題

研究課題/領域番号 16K06239
研究機関東海大学

研究代表者

村野 公俊  東海大学, 工学部, 教授 (60366078)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード電磁ノイズ抑制素子 / プリント回路基板 / マイクロストリップ線路 / 電磁誘導現象 / 共振現象 / 不要電磁波 / 吸収
研究実績の概要

本研究では,プリント回路基板上に配置されたマイクロストリップ線路(MSL)などの伝送線路を伝搬する不要な電磁波(電磁ノイズ)を抑制することのできる電磁ノイズ抑制素子の開発に取り組んでいる.本ノイズ抑制素子は,電磁誘導現象と共振現象を利用して,伝送線路を伝搬する特定の周波数の電磁ノイズを選択的に抑制しようとするものである.これまでの研究では,本ノイズ抑制素子を,能動素子を含めた共振構造とすることによって,特定の電磁ノイズを抑制できるだけでなく,当該周波数を外部制御できることが確認されている.しかし,電磁ノイズの抑制効果は,本ノイズ抑制素子の物理的構造や,伝送線路周辺に装荷する際の配置位置に大きく依存するため,実用化にあたり,それらの最適化が必要である.初年度(平成28年度)は,本ノイズ抑制素子および同素子を含む物理的構造の最適化について電磁界シミュレータを活用した方法を中心に検討をすすめてきたが,シミュレータを用いると複雑な物理的構造に対応できる一方,そのメカニズムまで明確にすることが難しいという欠点がある.もし,理論的に解析することができれば,そのメカニズムがより明らかとなり,本ノイズ抑制素子を含めた系全体の抜本的な最適化の実現が期待できる.そこで,平成29年度は多線条線路理論を新たに適用することにより,電磁界シミュレータの使用を必要最小限に抑え,本ノイズ抑制素子を装荷したMSL等の伝送線路の特性(電磁ノイズ抑制効果)を解析的に得る手法についての検討を行った.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成29年度は,年度途中から長期にわたる出張(海外派遣)があり,本学の研究設備を十分に利用することができず,また予算を執行することができなかったため,当初の計画とは異なる手法で研究をすすめることになった.しかし,派遣先の設備を活用するなど,可能な範囲で本研究課題に取り組んだ結果,本研究で提案する電磁ノイズ抑制素子の実用化に役立つ新たな知見を得ることができた.
当初の予定では,平成28年度に引き続き,本学所有の電磁界シミュレータを用いて,本研究で開発を進めている電磁ノイズ抑制素子のさらなる最適化をすすめる予定であった.しかし,同シミュレータの使用が困難な環境であったため,同シミュレータの使用を最小限とする,新たな最適化手法について検討した.この手法は,電磁界シミュレータのみで結果を得ようとするのではなく,従来の多線条線路理論を活用した理論解析的手法である.本手法の導入により,計算機資源の占有を抑えることができるだけでなく,シミュレータでは難しい電磁ノイズの抑制メカニズムの解明が可能となり,結果的に系全体の抜本的な最適化に役立つ手法を手に入れることができた.
最終年度である平成30年度は,この手法の実験的検証を行うとともに,本研究で提案する電磁ノイズ抑制素子の実用化について検討をすすめる予定である.

今後の研究の推進方策

平成30年度は,まず,平成29年度の研究を通じて得られた新たな解析手法(多線条線路理論をもとにした,電磁ノイズ抑制素子による電磁ノイズ抑制効果の新たな解析手法)の実験的検証を行う予定である.これは,平成29年度,当初の研究計画と異なる方針で研究を進めることとなり(「現在までの進捗状況」参照),研究環境の都合上,十分な実験的検証を行うことができていないためである.なお,最適化に重要な役割を果たすと考えられるこの解析手法は,電磁界シミュレータのみに頼るのではなく,同シミュレータの使用を必要最小限に抑え,従来の多線条線路理論と組み合わせて解析的に電磁ノイズの抑制効果を評価しようとするものであり,学術的に興味深いと考えられる.そこで,本解析手法については,近日中に国内の学会,研究会等を通じて公表する予定である.さらに,本解析手法を用いて電磁ノイズ抑制素子の物理的構造と電磁ノイズ抑制効果との関係を明らかにしながら,電磁ノイズの抑制効果の向上に向けた系全体のさらなる最適化を行い,本研究で提案する電磁ノイズ抑制素子の実用的な活用方法(例えば,本ノイズ抑制素子を用いて,プリント回路基板上に配置されたマイクロストリップ線路を伝搬する電磁ノイズをより効果的に抑制するための具体的手法等)について,明らかにする予定である.ここで得られた研究成果についても,順次,国内外の学会,国際会議や論文等を通じて公表していく予定である.

次年度使用額が生じた理由

(理由)
次年度使用額203,432円は,平成29年度途中から長期出張(海外派遣)があり,予算を執行することができなかったために生じたものである.
(使用計画)
次年度使用額203,432円は,平成29年度に新たに考案した解析手法の検証実験で使用する消耗品類(プリント回路基板,電子部品等)の購入に充てる予定である.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Modelling of Transmission Line Loaded with BCI Probe Using Circuit Concept Approach2017

    • 著者名/発表者名
      Kimitoshi Murano
    • 学会等名
      2017 International Symposium on Electromagnetic Compatibility (EMC EUROPE 2017)
    • 国際学会

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公開日: 2018-12-17  

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