研究課題/領域番号 |
16K06258
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
藤重 雅嗣 信州大学, 先鋭領域融合研究群カーボン科学研究所, 助教(特定雇用) (60712768)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | カーボンナノチューブ / CNT撚り線 / 電気伝導度 / CVD法 |
研究実績の概要 |
平成29年度は、研究計画の「1.高導電性DWCNT線の生成実験(FCCVD法による高純度・選択的な長尺DWCNT)」「2.CNT線の高導電化(2次処理含)」「3.メカニズム解明」の3つのテーマについて、研究を推進した。合成実験では、再現性を意識したサンプル試作を意識的に進め、2次処理の検討(洗浄、酸化、酸処理、異種元素ドープ等)も同時に進めることで、抵抗率1×-5乗 Ω・cmオーダーのCNT撚り線を15個試作できた。そのCNT線サンプルは、構造的にも電気特性的にも、ばらつきを保有しており、目標達成において課題となっている。構造と電気特性との間に相関関係があるかどうかを調査するため、試作したCNT線に対して、温度変化をcmオーダーのサンプルに対して動的に電気測定が実施できる系を作製して準備した。バルクとしての電気伝導度、SEM観察とCNT分散溶液法を用いたTEM観察による形状確認、レーザー波長532 nmを主としたラマン分光による構造の確認を行い、引き続き、2次処理前後の生成CNTの評価を進めた。温度変化をcmオーダーのサンプルに対して電気測定が実施できる系を作製して準備したが、電気伝導度向上の要因特定は明確にできていない。学会発表ではテーマに大変興味を持って頂いたが、抵抗率という観点において、分かりやすく説明する工夫の必要も感じる事ができた。引き続き、サンプルCNT線への異種元素ドープ処理について動的な電気特性を調査することで、要因特定につなげて目標達成に推進する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CNT線の電気伝導度向上の要因の一部を確認することができ、抵抗率1×-5乗 Ω・cmオーダーのCNT撚り線を15個、試作して評価を行った。予定していた生成装置のスプレー部改造については、現有設備の有効利用にて対応し、動的な電気特性を調査することへの予算配分に計画を変更した。報告が皆無である電気接点特性と電気特性評価について、重点化して研究を進める。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、現行のFCCVD法によるCNT撚り線の研究を進め、①生成実験、②高導電化、③メカニズム解明の3つのテーマを中心にして、目標である金属銅レベルのCNT線の実現を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入計画であった設備備品費の「CCVD 法CNT 生成装置改造スプレー部(特注)」について、研究推進の結果、想定の実験結果が出なく、新しい知見を得た。今年度の購入を見送り、現有設備を有効利用した条件最適化によるCNT構造制御と新しく次年度の動的な電気特性評価の実施へ予算を使用する計画へと変更したため次年度使用額が生じた。
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