前年度(平成30年度)までに開発した組成SiOxNyからなるダイヤモンド半導体結晶エッチング用ハードマスクの高周波マグネトロンスパッタリング法による合成およびハードマスクを用いたマイクロ波電子サイクロトロン共鳴プラズマによる高密度酸素プラズマエッチング技術の改良を検討した。特に、高濃度ホウ素ドープ膜のエッチングでは膜中不純物がマイクロマスクとして機能し、エッチング形状の悪化をもたらすため、エッチングガスの組成およびエッチング温度の適正化を図ることでエッチングプロファイルの改善を図った。さらに得られた微細加工技術を用いてダイヤモンドデバイスの試作を行い、非輻射欠陥の生成抑制によるダイヤモンドデバイスの特性改善を明らかにした。 また、研究の更なる進展を求め電子線照射によるダイヤモンド膜中非輻射型欠陥へのキャリア捕獲プロセスの検討を行った。既存非輻射型欠陥評価系では欠陥のキャリア捕獲プロセスは50ミリ秒程度の順方向パルスバイアス印可により行われるが、5.47 eVという非常に大きなバンドギャップエネルギーをもつダイヤモンド半導体結晶では少数キャリア濃度が低いため、膜中非輻射型欠陥への少数キャリアの捕獲が十分ではないと考えられる。そこで多数、少数いずれのキャリア注入も可能とする電子線照射によるキャリア捕獲プロセスの検討のための装置開発として、既存走査電子顕微鏡の改造を行い、電子線照射制御システムの開発を行った。
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