研究実績の概要 |
1次側からの電気信号入力に対して導電性高分子からイオンを放出しそれを化学信号として次の導電性高分子に伝達するために、クロス電位法を用いて総合的に伝達システムを構築することを試みている。クロス電位法はイオンの放出、ドリフトと2次側導電性高分子へのイオン注入に利用される。入力信号に応じてイオンは放出されるが、この方法では一定のドリフトを維持することが難しいことが分かった。そのためにメッシュ状の補助電極を用いてドリフトを維持させることができることを見いだした。 従来のクロス電位法では2次側導電性高分子から注入されたイオンが放出されることが判明した。これの対処法として非対称電位勾配の導入とクロス電位法で利用する電位をある値以下で利用する必要があることが分かった。 注入するイオンについてはエネルギー分散型 X 線分光法 (EDX),FT-IR,吸収スペクトルを用いて定量的に評価した。イオンとして神経伝達物質を用いた場合は従来のイオンと比べて明確なスペクトルを得ることは難しかった。これは神経伝達物質の構成元素の種類とイオン注入量が少ないことに起因すると考えられるが現在のところ不明である。 実験では溶液中のイオン濃度が上昇するので,これを制御あるいは初期化するために新たな導電性高分子を設定し,溶液中のイオンを取り込む実験を行い、パルス波高値などを調べその有効性を検討した。しかしパルス伝搬に関して現在のところ電解質中でのイオン伝搬が非常に遅いことが分かり実験装置全体の大きさを小さくして対応する必要があることが分かった。
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