研究実績の概要 |
本研究では、パワーデバイス及び深紫外固体光源用材料として注目されているワイドギャップ化合物半導体である酸化ガリウム(Ga2O3)に着目し、n型Ga2O3結晶膜の電気伝導性制御の実現を目的としている。パルスレーザー堆積法を用いて高品質n型Ga2O3結晶膜の成長技術を確立し、デバイス応用に向け、Siドーパントの化学組成・結合状態、電子状態を観測することにより、ドーピング機構を解明しようとしている。 平成28年度は、サファイア基板上にパルスレーザー堆積法を用いて、成長温度を500℃とし、ターゲット中のSi濃度を0.01,0.05,0.1,0.3,0.5,0.7 wt% と変化させ、SiドープGa2O3薄膜の成長を行った。作製されたSiドープGa2O3膜について、X線回折、原子間力顕微鏡、エネルギー分散型X線分光法、二次イオン質量分析法、ホール測定法により評価を行った。その結果、成長膜中のSi濃度は、ターゲット中のSiの含有量を変えることにより、制御できることが分かった。また、異なる電子密度を持つGa2O3薄膜を作製するためのターゲット中のSi含有量の最適値を明らかにした。これらの研究成果は、国際学術論文誌Applied Physics Lettersに公表した。また、2016年に開かれたThe International Workshop on UV Materials and Devices (IWUMD-2016)国際会議で招待講演を行い、研究成果の一部を紹介した。
|