研究課題/領域番号 |
16K06271
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研究機関 | 富山県立大学 |
研究代表者 |
唐木 智明 富山県立大学, 工学部, 准教授 (10254236)
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研究分担者 |
藤井 正 富山県立大学, 工学部, 准教授 (90305483)
角田 龍則 富山県産業技術研究開発センター, その他部局等, 主任研究員 (20416150)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 配向セラミックス / 非鉛系圧電材料 / 板状テンプレート / 水熱合成 / シート成型 / ドクターブレード法 |
研究実績の概要 |
予定計画により、アルカリ濃度、表面活性剤の量、合成温度と時間などの水熱合成条件を再検討した結果、破片の少ない、厚み1~2μmの板状NaNbO3が合成できた。改善した点は、原料調合時にアルカリの水和熱によって暖められた溶液が室温になってからNb2O5を混ぜ込むことと、合成後の冷却速度を制御することである。前者により、Nb2O5の分解から合成反応が順方向に進むようになり、後者によりNaNbO3の成長が最適化された。 NaNbO3テンプレートをより高く配向させるには、テープ成型ブレードの高さを50μm(第一)と30μm(第二)に狭くした。その結果、乾燥後の厚みが2.7μmになる薄いシートを成型できた。そのシートを一定厚みまで円筒状に巻いた後、φ12mmに切り抜くことにより、うまく重ね合わせに成功した。260MPaの一軸加圧や脱脂・焼結を経て、緻密なセラミックス試料を作製できた。その配向度を前年度の17%から約倍の36.5%まで向上した。本研究で得られた最高値の49%に再現できなかった。 高温拡散観察と高温粒子成長観察を行った。はっきりとしたテンプレート粒子の成長は観察されなかったが、周囲にあるマトリックス粒子よりサイズが大きいので、焼結中に成長したことは焼結体のSEM観察で確認できた。ただし、配向度がまだ低い原因の究明は今後の課題になる。 結果的に、本研究の目的であるキーポイント(a), (b)と(c)を併せ持つ圧電セラミックスである、97%以上高緻密、80%以上高配向度、かつ平均粒径が10μm以下の高性能な非鉛系圧電セラミックスを低コストで作製するプロセスにまだ課題が残っているが、焼結プロセスの最適化により、その可能性が十分にあると言えるだろう。
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