先の研究で、非常に薄く、少しの力を加えただけで壊れてしまうような膜や電極に対し、原子力顕微鏡のような力のフィードバック・除振機構、ピエゾ素子によるアプローチを必要とせずに、試料を破壊・汚染することなく非破壊で可逆的に電気コンタクトを形成する技術を開発した。本研究では、C-V測定で重要となるコンタクト面積の制御技術を開発することを目的とした。 電気コンタクト面積の制御のために、マスク不要の(安価な)レーザー露光リソグラフィーを利用し、コンタクト径が30μm、50μm、70μm、100μm、200μmのプローブの作製に成功した。再現性の高い電気コンタクト面積を実現するための条件検討を行い、最初に作りこむAu球の体積・形状を一定に保つことが重要であること、そのためにはプローブ作製時にセットするAu線の長さを同一にすることが重要であることを見出した。その結果、コンタクト径のバラツキを2%以内に抑えることに成功した。また、レジスト膜による面積制限の堅牢性を確保するために、リソグラフィー前処理および後処理条件の最適化を行い、コンタクトを数十回繰り返してもレジスト膜の剥離などを起こさず、試料を破壊することもなく電気測定が行えるプローブが作製できた。さらに、このプローブを市販プローバーへの接続する機構を開発し、脆い材料の電気特性測定を研究する他の研究者の研究室において市販プローバ―へ接続して測定に使用してもらい、非破壊で電気コンタクトが得られることが立証された。
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