本研究では、Si系ボトムセル・ペロブスカイト系トップセルの構成で将来的に超高効率2端子タンデム太陽電池を構築可能な、Si系セルと同等の優れた耐久性を示すペロブスカイト材料の実現を目指した。 具体的には、高効率・高耐久性ペロブスカイト太陽電池を、低温・溶液プロセスで実現するための技術開発を推進した。ペロブスカイト太陽電池はトップセル材料として優れた性質を幾つも秘めながら、最も重要な耐久性に関してほとんど知見が無く、早急に解決する必要がある。また、これまでに耐久性のあるペロブスカイト系太陽電池では、500℃程度の高温プロセスを必要とする場合が多く、タンデム構造の構築においては支障のある場合があった。 本研究では、新規インターフェース材料の開発と低温プロセスによるペロブスカイト結晶化の新規手法により、高い耐久性を示すペロブスカイト太陽電池の開発に成功した。 これまでに塩素を添加する相互拡散法(Cl-mediated interdiffusion method)、及び塩化メチルアンモニウム(MACl)雰囲気中で成膜する手法により、1000時間以上の連続発電が可能な耐久性を示す素子を作製できた。また、暗状態の耐熱試験(85℃1000時間)においても、初期値の90%超の効率を維持する事が判明した。 さらに、NiO層を用いた新規インターフェース層材料の開発とITOを両電極に用いた半透明セルの実現により、室温で4000時間超の連続発電試験の記録を達成した。また高温(85℃)条件下の加速連続発電試験により約10年相当の寿命を実現した。
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