研究課題/領域番号 |
16K06289
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
石鍋 隆宏 東北大学, 工学研究科, 准教授 (30361132)
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研究分担者 |
藤掛 英夫 東北大学, 工学研究科, 教授 (20643331)
柴田 陽生 東北大学, 工学研究科, 助教 (70771880)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 液晶 / 相分離構造 / 光拡散フィルム |
研究実績の概要 |
本研究は、紫外線光源の二次元分布と配光分布により、液晶/モノマー混合系の光重合における相分離構造の二次元分布を制御する手法を確立すると共に、液晶分子の配向方向の制御により、デバイスに入射した光が拡散する方向、およびその分布を低電圧でかつ高速に制御する動的な配光制御の基盤技術を構築することを目的とし、以下の項目について検討を行った。 1. 相分離構造制御に向けた液晶/モノマー材料の探索 高分子層構造の形成において、モノマー材料と相溶性が高い液晶材料を用いることが必要となる。ポリエステル系モノマUX-4101、およびフェニルシクロヘキサン系ネマチック液晶TD-1018XXを用いることで、紫外線による相分離が可能な液晶/モノマー混合材料の作製が可能であり、また混合比は50:50が最も効率が高いことを明らかにした。 2. 重合条件が相分離過程に及ぼす影響についての解析 二枚のポリカーボネートフィルムと厚さ200ミクロンのシリコーンスペーサから構成されたセル内に、液晶/モノマー混合液を注入し、棒状紫外線を照射することで光拡散液晶フィルムを作製した。紫外線照射時の温度、および紫外線照度を変化させて形成したフィルムの断面構造と光の拡散分布をレーザー顕微鏡および、拡散分布測定装置を用いて評価を行った。この結果、液晶が等方性となる温度以上で紫外線を照射し、液晶中で生じる光散乱を抑えることで、液晶中に高分子の層構造が形成できることを明らかにした。また、紫外線照度を低くし、モノマー硬化速度を遅くすることで、液晶・モノマーの相分離を促進し、層間の屈折率差が増大すると共に、光拡散角度が拡大できることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
28年度は、動的に配光制御が可能な照明技術の確立に向けて、(1)相分離構造制御に向けた液晶/モノマー材料の探索、(2)重合条件が相分離過程に及ぼす影響についての解析を行い、この結果、相溶性が高く、紫外線照射による相分離が可能な液晶/モノマー混合材料を見出すと共に、紫外線照射時の条件が相分離構造に与える影響を明確化した。特に、紫外線照射時の温度を液晶材料の等方性温度以上にすることにより混合液の光拡散を抑え、紫外線の配光分布に応じた高分子層構造を液晶中に形成できることを明らかにした。試作したデバイスの光拡散の電圧制御の可能性も確認しており、これらの成果は次年度以降に検討を予定していた項目の一部であり、以上のことから、本研究は計画以上に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
29年度は、紫外線LEDアレイを用いた(1)紫外線光源の二次元分布および配光分布による相分離構造制御、(2) 相分離構造による光拡散制御について検討を行い、紫外線の配光分布が相分離構造に与える影響と、その制御手法の確立を達成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成29年度請求額と合わせ、平成29年度の研究遂行に使用する予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は、液晶材料、モノマー材料の購入費、紫外線LEDアレイの試作費として使用する予定である。紫外線光源の配光分布を制御することで、相分離構造の制御とその評価を効率的に行う予定である。
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