研究課題/領域番号 |
16K06290
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
佐藤 祐一 秋田大学, 理工学研究科, 准教授 (70215862)
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研究分担者 |
齋藤 嘉一 秋田大学, 理工学研究科, 教授 (10302259)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 半導体薄膜 |
研究実績の概要 |
本研究は、無機半導体材料を用い、かつその薄膜結晶成長に一般的に用いられる単結晶基板とは別に、単結晶ではない基板を用いて高輝度の面発光源を得ようとするものである。そのための大きなキーポイントとなるのが、エピタキシャル成長を可能とする単結晶基板とは異なる非単結晶基板において、いかに品質の高い結晶をその上に形成するかということである。 今年度は、分子線エピタキシー装置により窒化ガリウムベースのⅢ族窒化物半導体薄膜を非単結晶基板の上に形成する際に、複数の活性窒素供給用のプラズマセルを用いることで特異な発光特性を有する試料が得られる場合があり、それを見極めるために、電子顕微鏡による構造解析を行った。 非単結晶基板としては主に石英ガラスを用いて実験を行ったが、プラズマセルを1台稼働しガリウムのみを供給して成膜を行った場合には、結晶粒が平面内で連続的に繋がっている状態の多結晶薄膜が得られることを確認した。これに対して,プラズマセルを2台同時に稼働し、さらにインジウムをガリウムと同時に供給することで、結晶粒が面内で連続的に繋がっている状態から、個々の結晶粒が分離独立した形態の薄膜構造が得られていることを確認した。 上記の結晶粒のサイズは1~200 nm前後となっており、基板面に対して垂直に柱状のナノサイズ結晶が成長していることを確認した。単結晶基板を用いたナノ結晶はこれまで比較的多く研究されてきているが、非単結晶基板を用いたナノ結晶に関してはその例が多くはなく、目的とするデバイスの実現に向けて良好な結果が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度はⅢ族窒化物半導体のナノ構造結晶を当該基板の上に形成することを目標に実験を行ってきた。その結果、非単結晶基板の上にナノ構造結晶が得られることを確認することができ、次年度以降の研究の土台を形成することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度、非単結晶基板の上にナノ柱状構造を形成することができたため、今後はその発光特性をはじめとする諸特性を明らかにすることが必要であり、また、導電型の制御も必要である。 さらに、当該ナノ結晶に関する形成のメカニズムについても明らかにしていく必要があると考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、得られた試料の構造解析に重点を置き研究を進める必要性が年度途中に生じた。そのため、当初予定の発光特性などの諸特性や下地層などの検討について、次年度以降に引き続いて実施することとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、発光特性などの諸特性を次年度の当初計画に加えて検討する予定であり、そのための費用を次年度分と合わせて使用する。
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