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2017 年度 実施状況報告書

無機半導体及び非晶質基板を用いた大面積・高輝度面発光源の開発に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K06290
研究機関秋田大学

研究代表者

佐藤 祐一  秋田大学, 理工学研究科, 准教授 (70215862)

研究分担者 齋藤 嘉一  秋田大学, 理工学研究科, 教授 (10302259)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワード半導体薄膜
研究実績の概要

本研究は,無機半導体材料を用い,かつその薄膜結晶成長に一般的に用いられる単結晶基板とは別に,単結晶ではない基板を用いて高輝度の面発光源を得ようとするものである。そのためのキーポイントとなるのが,エピタキシャル成長を可能とする単結晶基板とは異なる非単結晶基板において,いかに品質の高い結晶をその上に形成するかということである。
これまで分子線エピタキシー装置により窒化ガリウムベースのⅢ族窒化物半導体薄膜を非単結晶基板の上に形成する際に,複数の活性窒素供給用のプラズマセルを用いることで特異な発光特性が発現する場合があり,そのような場合には,非晶質基板である石英ガラスの上に100~200 nm程度の径を有する分離独立した柱状の結晶が,基板面に対して垂直に成長していることを確認している。
なおこの際,複数のプラズマセルの同時稼働に加え,インジウムをガリウムと同時に供給することで結晶粒が面内でつながっている状態から,個々の結晶粒が分離独立した状態に遷移することも確認している。
今年度は,このような非単結晶基板の上でのナノ柱状結晶の形成のメカニズムについてより深く検討を加えた。さらに,太陽電池用基板として広く用いられている多結晶シリコンを基板とした場合や多結晶金属箔を基板とした場合のモフォロジーについて検討を行うと共に,導電性や発光特性を制御するために不純物ドープを試みた。
その結果,薄膜成長時の基板温度を高くした状態でインジウムをガリウムと同程度供給した場合,ナノ柱状結晶の成長はインジウムの多量再蒸発に起因すると考えられること,不純物ドープにより個々の結晶粒の径が大きくなることを確認した。また,不純物ドープにより発光特性が単結晶膜の特性に近づくことが確認され,非単結晶基板を用いた高輝度デバイスの実現に大きく前進した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度はⅢ族窒化物半導体のナノ結晶成長に関して,これまでの非単結晶基板材料に加え,多結晶シリコンや多結晶金属箔を基板とすることや,それらの上でのナノ柱状結晶形成のメカニズム,および発光特性や導電性制御について主に検討することを目的として実験を行ってきた。その結果,より多様な基板の上でのナノ柱状結晶の形成が可能なこと,ナノ柱状結晶の形成のメカニズムおよび不純物ドープによる諸特性への影響を明らかにすることができ,次年度の研究に向けた下地を形成することができた。

今後の研究の推進方策

ここまで,より多様な非単結晶基板の上にナノ柱状結晶を形成することができてきており,発光特性も良好なものが得られてきている。これまでのところ,自己形成によりナノ柱状結晶を得ているが,今後は非単結晶基板の上での選択的な成長の検討やデバイス化に向けた検討を行っていく必要があると考える。

次年度使用額が生じた理由

今年度は,より多様な非単結晶基板の上にナノ柱状結晶の成長を行うための検討により重点が置かれ,発光特性や導電性制御についてある程度の実験は行うことができたものの,必ずしも十分ではなかった。そのため,当初予定の検討内容を次年度に引き続いて実施することとなった。

次年度は,これまでの計画に加え発光特性や導電性制御などの検討もより詳細に進めていく予定であり,そのための費用を次年度分と合わせて使用する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Properties of GaN-Based Nanopillar-Shaped Crystals Grown on a Multicrystalline Si Substrate2018

    • 著者名/発表者名
      Atomu Fujiwara and Yuichi Sato
    • 雑誌名

      AIP ADVANCES

      巻: 8 ページ: 015004-1-5

    • DOI

      10.1063/1.5014994

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 多結晶Siおよび金属箔基板上へ形成したGaN系ナノ結晶のモフォロジー2018

    • 著者名/発表者名
      藤原 亜斗武,グェン ドゥック チュン,齋藤 宇,佐藤 祐一
    • 学会等名
      2018年電子情報通信学会総合大会
  • [学会発表] Growth and Some Properties of GaN-Based Nano-Pillar-Shaped Crystals on Non-Single-Crystalline Substrates2017

    • 著者名/発表者名
      Yuichi Sato, Atomu Fujiwara, and Kazuki Shimomura
    • 学会等名
      International conference on Frontiers in Materials Processing, Application, Research & Technology (FiMPART'17)
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 多結晶Si 基板上に形成したGaN 系ナノ柱状結晶の諸特性2017

    • 著者名/発表者名
      藤原 亜斗武,下村 和輝,佐藤 祐一
    • 学会等名
      2017 年電子情報通信学会エレクトロニクスソサイエティ大会

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公開日: 2021-01-27  

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