研究課題/領域番号 |
16K06292
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
横田 浩久 茨城大学, 工学部, 准教授 (30272115)
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研究分担者 |
今井 洋 茨城大学, 工学部, 教授 (20151665)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | フォトニック結晶ファイバ / 光結合効率 / 空孔径分布 / ファイバコリメータ |
研究実績の概要 |
ファイバ断面の中央近傍に複数の空孔を配置したフォトニック結晶ファイバ(PCF)は,従来の光ファイバでは得られない特性を示すことから,機能性ファイバとして応用されている.本研究では,光源からPCFへの光結合効率を向上させるために,空孔径を半径方向にα乗分布 (1≦α≦2) とした構造を提案し,その有効性について理論的検証を行った. 提案した空孔径分布をもつPCF(GI-PCF)に光源からのガウスビームを入射した際,ファイバ中のビーム径が伝搬方向に周期的に変動し,導波パワーがほとんど減衰しないことが示された.通常の一様な空孔径を有するPCFにガウスビームを入射した場合には,光がファイバ中を伝搬するにしたがってビーム径の変動が収束して伝搬パワーが減衰することから,提案したGI-PCFは通常のPCFに比べて高い光結合効率が得られることが示された.伝搬する光のビーム径が最小となる長さで切断したGI-PCFを通常のPCFに接続することで,光源から通常のPCFへの光結合効率を向上するコリメータを実現できること明らかにし,光結合効率はαの値が2に近いほど高くなることが示された.また,GI-PCFにおける空孔径の空孔ピッチ(空孔中心間距離)に対する比d/Λが大きくなるほど光結合効率は高くできるが,接続するGI-PCF長誤差の許容度についてはd/Λを小さくしたものの方が優れていることが明らかとなった. 通常のPCF端面におけるα乗の空孔径分布形成についても,炭酸ガスレーザ照射やアーク放電による基礎的な実験を行なった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
提案したPCF(GI-PCF)およびファイバコリメータへの応用に関する理論検討は順調に進展している.一方で,PCFの光結合特性の測定については,実験機材の選定が遅れたため平成28年度中に実験に取りかかることができなかった.また,PCF端面加工についても,実験系の構築が遅れており,十分な実験が行えていないのが現状である.以上のことから,進捗状況は「(3) やや遅れている。」と評価した.
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今後の研究の推進方策 |
理論検討においては,ファイバコリメータとして応用した際に高い光結合効率が得られるGI-PCFの設計を進める.従来のGIファイバを用いたコリメータに対する優位性を明らかにするとともに,広い波長帯域でファイバコリメータとして使用可能なGI-PCFの構造を明らかにする. 実験においては,研究協力者である (有) 飛田理化硝子製作所とGI-PCFの母材試作を行うとともに,炭酸ガスレーザ照射によるPCF端面へのα乗空孔径分布形成の実験系を構築して端面加工実験を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費が計画よりも多かったものの,予定していた国際会議のための海外出張がかなわず,旅費やその他(国際会議参加費)での使用が計画よりも大幅に少ない結果となった.また,実験系構築の進捗が遅れたため,実験における謝金の実績がなかった.これらのことから次年度使用額が生じることとなった.
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度分として請求した助成金と合わせて,物品費としてはファイバ母材試作およびファイバ端面加工実験系の構築に使用する予定である.旅費としては国内学会等への出張旅費として使用する.外国旅費については,現時点で国際会議出席予定がないため使用の予定はない.人件費・謝金については,ファイバ端面加工実験における謝金として使用予定である.その他については,論文掲載料および国内学会参加費に使用予定である.
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