研究課題/領域番号 |
16K06302
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
有馬 裕 九州工業大学, マイクロ化総合技術センター, 教授 (10325582)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 三次元距離センサー / ステレオ視 / シングルチップ / 距離拡張 / 透明版 |
研究実績の概要 |
二つのイメージセンサー(間隔8mm)を集積したステレオ視方式シングルチップ三次元距離センサーLSI(チップサイズ:10mmX2.5mm)を用いて、各レンズとイメージセンサー間に挿入した透明板の傾きをネジの回転で微調整できる機構を設けたシングルチップ三次元センサープロトタイプを試作し、そのシングルチップによる距離拡張機能の評価実験を行った。左右二つのイメージセンサーとそのレンズ間に挿入した透明版(厚さ400μm)は、一方が二つのイメージセンサーの視差方向(横方向)に、他方がイメージセンサーの縦方向にそれぞれの画像がシフトできるように、その透明版の傾きをネジ(0.2mmネジ山ピッチ)の回転でそれぞれ微調整できる。このプロトタイプを用いた実験により、縦方向の微調整で相関画素ラインの位置を補正でき、横方向の微調整で検知距離を連続してシフトできる機能を確認実証することができた。この機能により、レンズのアセンブリ精度限界(~50μm程度)に伴う検知距離のバラツキ(画角27度の3mで-1.5m~15m)を高精度に補正可能になり、シングルチップにおける狭間隔ステレオ視センサーでも高精度な検知距離補正制御(検知距離の1/10以下)が可能となり、シングルチップサイズでの数10m以上の検距離知範囲が実現できる。 また、今回試作したプロトタイプの評価では、画素間の視差相関信号のS/Nが悪く、視差画素相関信号による検知距離補間において十分な精度が得れない課題が明らかになった。その視差相関信号S/Nを低下させる要因を調査し、相関信号が検知対象物の位置と輝度とに依存して信号値が異常に変動する場合があることが確認された。今後はその原因を明らかにしその対策を施し改良を行う。 この視差相関信号S/Nが改善できれば、シングルチップのステレオし方式三次元距離センサーによる数10m以上の検知範囲で十分な精度で距離が検知できると予想される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実際にシングルチップを用いて試作したプロトタイプによる評価実験により提案方式の基本機能は実証された。検知距離精度を十分なものにするためには視差相関信号のS/Nを改善する必要があるが、その改善は可能な範囲と思われる。残りの研究期間で計画通りの目標性能が実証できる見込み。
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今後の研究の推進方策 |
視差相関信号のS/N低下の原因を明らかにし、その対策を施した改良型プロトタイプを試作し、提案方式の有効性を実証する。 視差相関信号S/N改善に対する主な対策改良は、三次元センサーLSI制御信号の修正や各種信号設定パラメータの変更や調整などで対応可能と思われるが、そのノイズ振幅が対象物の距離とも依存していることから、必要に応じて光学レンズなど光学系の変更も検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
シングルチップ三次元距離センサーLSIが正常動作しその改良のための再試作が不要になったことと、光学レンズを既存のもので流用したこと等により予定より少ない予算でプロトタイプが試作できた。 プロトタイプの評価で明らかになった視差相関信号S/Nの問題改善のために光学レンズの交換を含む光学系の改善のためにその節約できた予算を使う予定。
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