研究課題/領域番号 |
16K06306
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
小山 長規 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10336802)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | センシングデバイス / AWG / IoT / WDM / Raspberry Pi / LPFG / CO2レーザ |
研究実績の概要 |
研究実施計画に照らし、次の3点を中心に研究を実施した。 (1) 多重波長AWG-STARネットワークのスケーラビリティの検証:長距離ファイバを用いて、通信ノード数が5、ノード間距離が5 kmの実験用ネットワークを構築した。実験ネットワーク上で光スイッチ切替による波長パス再配置の動作確認を行い、従来の短距離ネットワーク上での性能と同等に機能することを確認した。これより、多重波長AWG-STARを数km規模のネットワークに適用できる程度のスケーラビリティを有することを実証した。また、大阪府立大学のキャンパス間ネットワークに適用する場合を想定し、ノード間距離を調整し(最長15 km, 最短1 km)、同様の実験を行った。結果、大阪府立大学のキャンパス間ネットワークに適用できる可能性があることを示した。 (2) 光スイッチの遠隔制御:Raspberry Piに電子回路を介して光スイッチを接続し、さらにIPネットワークを介して制御命令の受信と光スイッチ切替の実行結果の返信を行う機能を実装した。これにより、遠隔地から多重波長AWG-STARネットワークの波長パス再配置制御が可能となり、ネットワークの高機能化を実現できた。 (3) LPFGの損失スペクトラム調整法の温度依存性:室温におけるLPFGの損失スペクトラムの調整方法として、照削法と引張法を考案した。これらの調整法を適用することでLPFGの温度特性にどのような影響があるのかを調査した。結果、調整法による温度特性への影響は無視できるほど小さいことが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度の研究実施予定であった、(1)多重波長AWG-STARネットワークのスケーラビリティの検証、(2)光スイッチの遠隔制御、(3)LPFGの損失スペクトラム調整法に関しておおむね順調に成果を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
前年度の成果を踏まえ平成29年度は次の項目に重点を置き研究を進展させる。 (1)光増幅器を用いた多重波長AWG-STARネットワークのスケーラビリティ向上:スケーラビリティ向上を目的とし、光増幅器をネットワークに導入する。また、Raspberry Piを用いて光増幅器にネットワーク通信機能を追加し遠隔制御を可能とすることでネットワークの高機能化を実現する。 (2)温度センシングシステムへのネットワーク機能追加:Raspberry Piを用いて光スペクトラムアナライザにネットワーク通信機能を追加する。また、IoTデバイスの実装事例として、Raspberry Piに不必要なデータのフィルタリングや複数の微小データの一括送信などのエッジ処理機能を実装する。 (3)センシングデータ蓄積用サーバの構築:センサデバイスプラットフォームのデータ蓄積機能としてサーバを構築する。
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次年度使用額が生じた理由 |
長距離光ファイバの購入を計画していたが、数本の短距離光ファイバを直列接続することで長距離光ファイバを実現することができたため、本年度構築した実験ネットワークでは直列接続光ファイバを用い、長距離光ファイバの購入は見送った。これにより、使用額に差が生じた。ただし、短距離光ファイバを直列接続するたびに光損失が蓄積し通信品質が劣化したので、再度長距離光ファイバの購入を検討する必要がある。
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次年度使用額の使用計画 |
センサデバイスプラットフォームとして多重波長AWG-STARネットワークを機能させることを目的とし、スケーラビリティ向上と高機能化を目指すものであるため、これに資する物品として、長距離ファイバ、波長分割多重用光デバイスとしてのOADM、光スイッチ、光増幅器、ネットワーク機器としてレイヤー3スイッチ、データ蓄積基盤としてのウエブサーバ、IoTデバイスとしてのRaspberry Piなどに対し研究費を使用する。 また、国際会議での研究発表、論文誌での研究発表のため英文校正、論文掲載費に研究費を使用する。
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