本研究では、ネジと熱収縮チューブと光ファイバからなる簡単に作製可能な長周期ファイバグレーティング(LPFG)を適用した光ファイバセンサーの特性の解明とそれを利用した低価格なセンシングシステムへの適用性を明らかにすることが目的であり、最終年度は、LPFGの作製用ファイバ、LPFGの感度向上のためのカスケードLPFG、またカスケードLPFGを用いた振動測定への応用等について検討を行った。これらの結果について以下に示す。 LPFG作製用ファイバとして、カットオフ波長の異なるファイバを用いたLPFGの透過特性を計算し、両者の特性を比較した。その結果、カットオフ波長が短いLPFGの方が、屈折率変調量に対して結合係数の変化が大きいことを確認した。光弾性効果により作製したLPFGで、800nm帯で動作するLPFGはセンサ感度が向上することが分かった。また、グレーティング長に対する減衰量の変化も同様に、800nm帯動作のLPFGの方が1550nm帯のLPFGよりも大きいことを確認した。次に、LPFGの感度向上のためにカスケードしたLPFGの印加圧力による損失と共振波長の特性を検討した。ここでは、グレーティング周期の異なるカスケードLPFGを作製して、両者の特性の比較を行った。LPFGへの圧力変化に対する損失の変化は、ほぼ同じであったが、共振波長の変化はグレーティング周期が大きいほうが大きいことを実験的に明らかにした。また、このカスケードLPFGを用いて振動測定法を提案し、以前行っていたLPFGの偏波モード損失を利用していた測定法に比較して感度が向上できることを明らかにした。更に、2モードファイバを用いたLPFGによる基本モードから高次のLP11モードに広帯域に変換できるモード変換器についての基本的な検討を行い、その可能性について明らかにした。
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