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2016 年度 実施状況報告書

MEMS構造体と磁性薄膜の融合による高効率電磁型環境発電デバイス

研究課題

研究課題/領域番号 16K06308
研究機関兵庫県立大学

研究代表者

藤田 孝之  兵庫県立大学, 工学研究科, 准教授 (50336830)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードエナジーハーベスタ / MEMS / 薄膜磁石 / NdFeB
研究実績の概要

H28年度の研究計画であった,①電磁界シミュレーションによるVDRGモデルから検証した電磁型エナジーハーベスタの設計手法の確立,②極狭ギャップを有する高効率エナジーハーベスタを実現のための高性能ホール素子,表面磁束分布計測の確立,③挟ギャップ化の妨げとなる磁性膜付シリコンウエハの残留応力による反りを極小化するための応力補正膜成膜プロセス最適化,についての研究を行った.
課題①については,電磁界シミュレーションで,先行研究を模したシリコン凹凸とスパッタNdFeB膜厚を入力し,蛇行コイル位置での磁束分布を算出することで理論的な発電電力を求める手法を確立した.同時にVDRGモデルから最適な磁石ピッチと,発電時に発生するローレンツ力を有限要素解析ソフト(ANSYS)で計算し,100 Hz,3 µmp-pの正弦振動を与えれば,従来の43倍の0.42 µWの電力が得られることを解析的に確認した.
実測との比較によって提案解析モデルの実効性を検証する予定であったが,装置トラブルのため確認には至らなかった.派生テーマとして,磁性薄膜の磁気反発力を用いた接触防止機構についての解析を行い,国内外の学会で発表した.
課題②については,課題③の遅れもあり,ホール素子に関する研究を進めることが困難であった.
課題③については,NdFeB磁性薄膜の製造装置であるRFマグネトロンスパッタ装置にトラブルが発生したためほぼ進展がなかった.装置の復旧後,先行研究と同程度の磁気特性が維持できているか確認中である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

解析,検証については計画通り,派生テーマを含めると計画以上に進んでいる.実デバイスの作製において重要な装置である4インチRFマグネトロンスパッタ装置のトラブルのため進捗が遅れている.同装置は4インチのTaターゲットと,NdFeBターゲットを交互にスパッタできるが,ターゲット切替時のマッチング不良,冷却機構の不具合など,先行研究で実現出来ていた高性能磁性薄膜が安定に製造出来ない状況に陥っていた.復旧後,成膜されたNdFeBの磁気特性を評価するため,外部の試験期間に依頼して,VSM計測を実施中である.市販のホール素子については,十分成熟した技術であり容易に入手できるが,高分解能で磁束分布計測を行うことが考えられてる構造ではないため,パッケージの切削など試行錯誤的な要素を多く含むため,研究が大きくは進まなかった.以上,総合的にみて(3)やや遅れていると評価した.

今後の研究の推進方策

復旧したスパッタリング装置の成膜性能を確認後,応力緩和による平坦化で狭ギャップ化を実現していく.これまでの成果として,ウエハ裏面より応力補正用NdFe膜を成膜することで比較的平坦な膜を得ているが,応力緩和であれば他の薄膜材料でも可能と考えられるので,例えばCrなどで実験的に検証していく.ピッチ短縮にともない溝構造が埋まることで,磁気ストライプパターンが十分得られない恐れがある.このため,スパッタ圧力,DCバイアスの条件変更により直進性が高く壁面に堆積しないスパッタ条件を確立していく.
ローレンツ力を考慮した電気的および機械的減衰定数マッチングでは,VDRGモデル通りにギャップが縮まるとローレンツ力が上昇し,合成Q値が低下していくを確認している.同解析の有用性を試作デバイスとの比較を繰り返すことで実験的に確認する.解析にはFEMだけでなく,あらたに磁気モーメント法ソフトQmを導入し,動解析にも取り組んでいく.

次年度使用額が生じた理由

磁性薄膜製造スパッタリング装置の不具合で,実験に必要な消耗品等の消費が少なかった.

次年度使用額の使用計画

装置復旧後は,計画通り進めていく.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2016

すべて 学会発表 (6件) (うち国際学会 5件、 招待講演 2件)

  • [学会発表] Collision-free structure using thin-film magnet for electrostatic energy harvester2016

    • 著者名/発表者名
      S. Yoshii, K. Yamaguchi, T. Fujita, K. Kanda, and K. Maenaka
    • 学会等名
      PowerMEMS2016
    • 発表場所
      パリ・フランス
    • 年月日
      2016-12-06 – 2016-12-09
    • 国際学会
  • [学会発表] 静電型エナジーハーベスタのためのNdFeB薄膜磁石を用いた磁気ストッパー構造2016

    • 著者名/発表者名
      吉井真一,山口晃平,藤田孝之,神田健介,前中一介
    • 学会等名
      電気学会センサ・マイクロマシン部門総合研究会
    • 発表場所
      石川県金沢市
    • 年月日
      2016-06-29 – 2016-06-30
  • [学会発表] Pull-in Prevention Method Using NdFeB Thin-Film Magnet for Electrostatic Energy Harvester2016

    • 著者名/発表者名
      S. Yoshii, K. Yamaguchi, T. Fujita, K. Kanda, K. Maenaka
    • 学会等名
      Asia Pacific Conf. Transducers (APCOT2016)
    • 発表場所
      石川県金沢市
    • 年月日
      2016-06-27 – 2016-06-29
    • 国際学会
  • [学会発表] MEMS Based Energy Harvester for IoT World2016

    • 著者名/発表者名
      T. Fujita
    • 学会等名
      International conference on informatics, electronics & vision (ICIEV2016)
    • 発表場所
      ダッカ・バングラデシュ
    • 年月日
      2016-05-13 – 2016-05-13
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Micro Energy Harvester for Human Sensing System2016

    • 著者名/発表者名
      T. Fujita
    • 学会等名
      International Symposium on Multidisciplinary Engineering (ISMDE2016)
    • 発表場所
      ダッカ・バングラデシュ
    • 年月日
      2016-05-11 – 2016-05-12
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Design and Optimization of a MEMS Based Electromagnetic Vibration Energy Using Sputtered NdFeB Film2016

    • 著者名/発表者名
      T. Fujita, K. Yamaguchi, S. Yoshii, K. Kanda, K. Maenaka
    • 学会等名
      European Materials Research Society, 2016 Spring
    • 発表場所
      リール・フランス
    • 年月日
      2016-05-02 – 2016-05-06
    • 国際学会

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公開日: 2018-01-16  

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