MEMS技術で作製した微小なシリコン構造体上に,スパッタ成膜したNdFeB磁性薄膜を用いた電磁型エナジーハーベスタの研究を推進してきた.⑥両面対称構造による平坦化と高効率化について,シリコンの両面にコルゲート構造(凹凸形状)を形成し,その表面にNdFeB磁性膜を両面対称に成膜することでシリコン構造体の反りを低減するため,試験サンプルに磁性体を成膜し白色表面形状計で評価した結果,曲率半径が5 mから40 mに向上した.この結果よりエアギャプを30μmから2μmまで低減できると仮定し,シミュレーションにより発電電力を190倍の48μWにできることを確認できた.シミュレーション結果を実験的に確認するため,考案した両面プロセスを用いて最終的な発電デバイスの作製に取りくんだ.エアギャップ規定に使用していたポジ型厚膜レジスト材料が廃番となったため,新規材料での最適化条件の導出に時間を費やしてしまった.また,使用しているMEMS用クリーンルーム施設の建屋引っ越し時期と重なったため,必要な実験装置が使用できなかったこともあり完成には至らなかった. 派生研究として取り組んだ,コルゲート構造によって反磁界を低減した磁気反発構造と,静電エレクトレット型エナジーハーベスタを組み合わせ構造では,スリット形状のシリコンMEMS構造体を提案,試作し,磁気反発力の初期評価を行った.重力方向に磁気反発力が発生するジグと,精密電子秤の組み合わせで,定量的な磁気反発力計測が行えた.以上の結果を国内シンポジウムで報告している.
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