2016年度:ほうれん草から抽出されたカロテノイド系色素の抗酸化作用の検討に抽出したβカロテンを主に用いていたが、同時に抽出されるルテインの抗酸化作用も検討した。それに加えて、アオダモから青色蛍光色素を抽出する方法についても検討した。ディスプレイや白色照明への応用には、光の三原色が必要となるためである。 βカロテンおよびルテインによる発光強度の増強効果を詳細に調べるため、元々発光強度の弱いクロロフィルに代えて、市販の蛍光材料であるMDMO-PPVにβカロテンおよびルテインを添加してそのPL強度の時間変化を測定した。その結果、両者は同じようにPL強度が一度上昇してから低下するという現象が確認できた。しかしそれだけではなく、発光波長が時間とともに短波長シフトする新規な現象も確認できた。その時間変化を詳細に検討すると、ルテインよりはβカロテンの抗酸化作用が優れているという結論となった。 2017年度:アオダモから青色蛍光色素の抽出に成功した。ただし、濃度が低く親水性が高いため基板に塗布すると発光強度が低下してしまう。この問題を解決するために、真空中で薄膜をアニールすることにより発光強度が改善できることがわかった。 2018年度:ほうれん草から抽出したβカロテンによる抗酸化作用と発光波長の変動ついて最終的な回答が得られつつある。またアオダモから青色蛍光色素を抽出する逆相クロマトグラフの条件出しに成功した。さらに、ミニトマトから緑色蛍光色素を抽出するクロマトグラフの条件出しにも成功した。以上3件の成果によりRGB三原色が植物由来の色素から揃ったことになった。3件とも6月の国際会議(EM-NANO、長野)にて発表予定である。
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