研究課題
本研究では、超高速・大電流・高耐圧・高温動作ダイヤモンド電界効果トランジスタ(FET)の開発を試みている。ゲート絶縁膜として窒化アルミニウム(AlN)及び窒化アルミニウム(AlN)/アルミナ(Al2O3)積層構造を選定し、水素終端ダイヤモンド表面に誘起される正孔伝導層をFETのチャネルとして用いている。各絶縁膜材料の成長方法は、有機金属化合物気相成長(MOVPE)法、原子層体積成長(ALD)法、超高真空スパッタ法を用いた。平成28年度において申請者は、MOVPE法の結晶成長条件の最適化を行うことで、単結晶AlN/ダイヤモンドヘテロ構造を形成することに成功した。また同時にAlN/ダイヤモンドヘテロ接合界面に10E14㎝^-2の正孔伝導層が得られることを発見し、新規ダイヤモンドFETの開発の道筋を立てた。また並行してAlN/Al2O3/ダイヤモンドヘテロ構造FETの試作検討を行った。AlN(25 nm)/Al2O3(5 nm)/ダイヤモンドヘテロ構造FET(Lg=4 um, Lgd=24 um)構造を試作し、FET特性を評価した結果、最大ドレイン電流-113 mA/mm、耐圧-247.4Vの値であることが明らかとなった。AlN/Al2O3積層構造における強誘電体特性の発現に関しては、超高真空スパッタ法により堆積させたAlNの質によって変化することが明らかとなってきており、結晶欠陥(固定電荷)の多いAlNが影響していると考えられる。しかしながら、静電容量-電圧(C-V)測定の評価の際、結晶欠陥(固定電荷)の多いAlNをどのように解析に組み込むかが重要であり、未解決の課題である。
2: おおむね順調に進展している
本研究において申請者は、AlNを用いた新規ダイヤモンドFETの開発の道筋を立て、並行してAlN/Al2O3/ダイヤモンドヘテロ構造FETの試作検討を行った。そのため、おおむね順調に進展していると判断した。
H29年度では、引き続きAlN/ダイヤモンドFET、AlN/Al2O3/ダイヤモンドFETの開発を行う。AlN/Al2O3積層構造における強誘電体特性の発現に関しては、超高真空スパッタ法により堆積させたAlNの質によって変化することが明らかとなってきており、結晶欠陥(固定電荷)の多いAlNが影響していると考えられる。そのためH29年度にて本内容も詳細に解析予定である。また静電容量-電圧(C-V)測定の評価の際、結晶欠陥(固定電荷)の多いAlNをどのように解析に組み込むかが重要になると考えられる。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 6件、 査読あり 6件、 謝辞記載あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
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