研究課題
本研究では、超高速・大電流・高耐圧・高温動作ダイヤモンド電界効果トランジスタ(FET)の開発を試みている。ゲート絶縁膜として窒化アルミニウム(AlN)及び窒化アルミニウム(AlN)/アルミナ(Al2O3)積層構造を選定し、水素終端ダイヤモンド表面に誘起される正孔伝導層をFETのチャネルとして用いている。各絶縁膜材料の成長方法は、有機金属化合物気相成長(MOVPE)法、原子層体積成長(ALD)法、超高真空スパッタ法を用いた。平成29年度において申請者は、MOVPE法の結晶成長条件の最適化を行うことで、単結晶AlN/ダイヤモンドヘテロ構造を形成することに成功した。しかしながら、AlNの結晶品質の向上に伴い、AlN/ダイヤモンドヘテロ接合界面の正孔伝導層のシートキャリア濃度は減少する傾向が見られた。このトレードオフ現象は、AlN/ダイヤモンドヘテロ接合型FETを開発する上で克服すべき課題であり、H30年度において詳細に検討・評価を行う予定である。また並行してAlN/Al2O3/ダイヤモンドヘテロ構造FETの試作検討を行った。その結果、ダイヤモンド基板の面方位により、FETの最大ドレイン電流が大きくなることが明らかになってきた。そのため、H30年度においてFET特性とダイヤモンド基板の面方位との相関関係を明らかにする予定である。AlN/Al2O3積層構造における強誘電体特性の発現に関しては、本年度ではあまり進展させることが出来なかった。そのため、H30年度において詳細に検討・評価を行う予定である。
3: やや遅れている
本研究において申請者は、AlNを用いた新規ダイヤモンドFETの開発の道筋を立て、並行してAlN/Al2O3/ダイヤモンドヘテロ構造FETの試作検討を行った。AlN/Al2O3積層構造における強誘電体特性の発現に関しては、本年度ではあまり進展させることが出来なかった。そのため、やや遅れていると判断した。
H30年度では、引き続きAlN/ダイヤモンドFET、AlN/Al2O3/ダイヤモンドFETの開発を行う。AlN/ダイヤモンドFETに関しては、AlNの品質と界面のシートキャリア濃度の関係を詳細に調査する。AlN/Al2O3/ダイヤモンドFETに関しては、(111)面ダイヤモンド基板上にデバイスを試作し、FET特性向上を図る。AlN/Al2O3積層構造における強誘電体特性の発現に関しては、超高真空スパッタ法により堆積させたAlNの質によって変化することが明らかとなってきており、結晶欠陥(固定電荷)の多いAlNが影響していると考えられる。そのためH30年度にて本内容も詳細に解析予定である。また静電容量-電圧(C-V)測定の評価の際、結晶欠陥(固定電荷)の多いAlNをどのように解析に組み込むかが重要になると考えられる。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 7件、 査読あり 7件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 8件)
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