研究課題
本研究では、超高速・大電流・高耐圧・高温動作ダイヤモンド電界効果トランジスタ(FET)の開発を試みた。ゲート絶縁膜として窒化アルミニウム(AlN)及び 窒化アルミニウム(AlN)/アルミナ(Al2O3)積層構造を選定し、水素終端ダイヤモンド表面に誘起される正孔伝導層をFETのチャネルとして用いた。各絶縁膜材料の成長方法は、有機金属化合物気相成長(MOVPE)法、原子層体積成長(ALD)法、超高真空スパッタ(SP)法を用いた。MOVPE法を用いてAlN結晶成長を行い、結晶成長条件に対する成長様式の変化を評価することで、単結晶AlN/ダイヤモンドヘテロ構造を形成させることに成功した。またヘテロ接合界面に正孔キャリア(最大で2×10E14㎝^-2)が誘起されることが明らかとなった。しかしながら、この正孔キャリア濃度とAlNの結晶品質にはトレードオフの関係があり、AlNの結晶品質の向上に伴い、キャリア濃度は最大値から2桁以上減少する傾向が見られた。並行してSP-AlN/ALD-Al2O3/ダイヤモンド(001)ヘテロ構造FETの試作検討を行った。AlN(25 nm)/Al2O3(5 nm)/ダイヤモンドヘテロ構造FET(Lg=4 um, Lgd=24 um)構造を試作し、FET特性を評価した結果、最大ドレイン電流-113 mA/mm、耐圧-247.4Vであることが明らかとなった。また同条件にてSP-AlN/ALD-Al2O3/ダイヤモンド(111)ヘテロ構造FETの試作検討を行った結果、最大ドレイン電流-180 mA/mmまで向上した。AlN/Al2O3積層構造における強誘電体特性の発現に関しては、超高真空スパッタ法により堆積させたAlN単膜においても強誘電体特性が得られたため、AlN中の局所的な結晶欠陥(固定電荷)が強誘電体特性発現に影響していると考えられる。
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