デジタルコヒーレント光伝送技術のさらなる発展を目指し、偏波を信号空間として捉え、この空間を利用して多次元化を実現し、さらに変調信号点を選択することにより、位相・振幅の信号間ユークリッド距離を拡大する多次元符号化光変調方式の高度化に取り組んでいる。 平成30年度では、平成28年度に作成したQPSKベースの4次元光変調信号方式のプログラムに加え、16QAMベースや2A8PSKベースの4次元および8次元の多次元光変調信号方式のプログラムを作成した。これらの変調方式を、平成29年度に作成したLDPC符号を用いた誤り訂正機能と信号復調を繰り返し行いことにより受信特性を改善するBICM-ID (Bit Interleaved Coded Modulation-Iterative Detection)という符号化変調方式に適用し、AWGN(Additive white Gaussian noise)環境における複数の多次元符号化光変調方式の伝送品質特性を評価した。また、これらの方式をデジタルコヒーレント光伝送技術で汎用的に用いられる適応等化で信号処理し、特性評価を行った。現在、得られた計算結果を基に、論文を執筆中である。 また、これらを市販光伝送シミュレータと組み合わせ、非線形効果を取り入れた光伝送路においても定量的な伝送品質評価を可能とする計算環境を整えた。この環境を利用し、非線形効果を考慮した場合の多次元符号化変調方式の最適パラメータ設定法について評価を行った。この研究成果は、電子情報通信学会ソサイエティ大会で発表した。
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