| 研究課題/領域番号 |
16K06338
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| 研究機関 | 電気通信大学 |
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研究代表者 |
石橋 功至 電気通信大学, 先端ワイヤレス・コミュニケーション研究センター, 准教授 (80452176)
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| 研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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| キーワード | ランダムアクセス / フレームレスALOHA / 逐次干渉除去 / 二部グラフ / 密度発展法 |
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| 研究実績の概要 |
モノのインターネット(IoT)の普及に伴い、数十億を超える超多数のデバイスが同一の無線資源を用いて通信を行うことが想定される。従来の媒体アクセス制御技術では、オーバヘッドの増加によって、無線資源が圧倒的に不足し、安定した通信が実現できない。本研究課題は、超多端末環境をサポート可能な新たな媒体アクセス制御方式の提案と、その理論の構築を目的とする。
初年度である平成28年度では、オーバヘッドの削減が可能で、高負荷環境においても優れたスループット特性を示すフレームレスALOHA方式に着目した。フレームレスALOHAでは、各送信端末は与えられた確率にしたがって信号をランダムに送信する。基地局では衝突のない受信信号から情報を復調し、これを衝突の発生している受信信号から逐次的に減算していくことで、干渉を除去し、情報を復調していく。フレームレスALOHAを用いたネットワークにおいて、複数の基地局間が存在した場合、基地局ごとの衝突の発生の違いを利用し、さらに効率的に情報の復元が可能である。これは基地局連携フレームレスALOHAと呼ばれ、その特性は基地局2台の場合には厳密に解析されていたが、一般のケースについては未知であった。
そこで今年度はまず3台の基地局が連携するケースについて解析を行った。その結果、通常のフレームレスALOHAでは情報が復調できない場合においても、他の基地局の信号から連鎖的に対象の信号を復元できるケースが存在することを明らかにした。我々はこの連鎖的復調によって得られる利得を多元接続ダイバーシティ利得と名付け、この利得が基地局台数に対してどう変化するかを明らかにするため、解析を一般化した。その結果、この多元接続ダイバーシティ利得が基地局台数に対して線形に増加することを明らかにし、大規模かつ高負荷ネットワークにおいても本方式が高いスループットを維持できることを明らかにした。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成28年度では目標であった基地局連携フレームレスALOHAの一般化解析まで完了した上、さらに符号化を組み合わせた符号化フレームレスALOHAについても検討を進めた。当初予定ではこれは平成29年度の検討事項であり、当初の計画以上に進展しているといえる。
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| 今後の研究の推進方策 |
平成29年度では、誤り訂正符号と基地局連携フレームレスALOHAの統合設計を目指す。フレームレスALOHAでは各ユーザがランダムに信号を送信するために、信号が送信されない確率がパケット損失確率の下界となってしまう。この問題を解決するために、今年度は低密度パリティチェック符号(LDPC:Low Density Parity Check)符号を組み合わせて設計することを提案し、高いスループット特性と安定した通信を達成可能であることを明らかにした。平成29年度ではこれらの議論を基に、複数基地局連携時のLDPC符号の次数分布最適化を理論的に行い、多元接続ダイバーシティ利得を最大化可能な誤り訂正符号を明らかにする。またフレームレスALOHA以外のランダムアクセス方式についても着目し、平成28年度に得た知見を応用して解析を行い、真に効率的な多元接続技術についてさらに議論を進めていく。
また本研究成果をよりインパクトの高いものとするため、国外の研究者と定期的な意見交換を行い、議論を重ねながら、研究を進める予定である。
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