研究課題
一様分布に従う乱数を変換して所望の確率分布を生成する問題はResolvability問題と呼ばれる.この問題では,確率分布の生成にかかるコストを削減するために,一様乱数が取る値域のサイズ(乱数生成レート)をできる限り小さくすることが求めらる.従来,様々な情報源や確率分布の近似尺度に対して最小乱数生成レートの解析が行われてきた.令和2年度の研究では,ディスク等に保存されている機密データを一様乱数を用いて変換し,安全に消去する情報消去システムに対する性能解析手法を提案した.特に,機密データが定常無記憶情報源から生起することを仮定し,従来知られていなかった最小乱数生成レートの公式を導出した.この公式から,最小レートを求める計算が凸計画問題として定式化されることを明らかにした.さらに情報消去システムにおける最小乱数生成レートとResolvability問題における最小乱数生成レートの関係を明らかにした.この結果は有限の長さのデータ系列に対する詳細な性能評価につながる,二次オーダレートの解析に拡張することも可能である.系列長に依存しない定数オーダの計算量で一様乱数の最小乱数生成レートを計算することが可能となることから,令和元年度までの同様の結果と合わせて理論的な示唆に富んだ成果が得られたと言える.上記の研究の他,生体データを符号化して乱数を取り出す乱数生成問題(生体識別システム)や通信路符号化のシステムに対して,情報理論的な性能の解析を行った.
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IEICE Trans. Fundamentals
巻: E104-A, No.5 ページ: 805-813
10.1587/transfun.2020EAP1014
情報処理学会論文誌 数理モデル化と応用(採録決定)
巻: 14 ページ: 0-0
巻: E104-A, No.5 ページ: 283-294
10.1587/transfun.2020EAP0001