TCPのデータセグメントのみを含む片方向の通信ログの情報に基づいて、1つのTCPフローの使用している輻輳制御アルゴリズムを推定する方法を考案し、実際の通信ログから輻輳制御アルゴリズムの推定を行いその有効性を確認した。また、片方向の通信ログの情報から往復遅延時間(RTT)を推定する作業に関しても、ピリオドグラムに基づく方法と、自己相関に基づく方法の2つを実際の通信ログに適用し、その推定性能を評価した。 具体的には以下の成果を得た。片方向の通信ログからの輻輳制御アルゴリズムの推定については、シーケンス番号vs.時刻のグラフを1次式から4次式の範囲で、最小二乗法により近似し、その一階微分と二階微分の係数の対応からアルゴリズムを推定する方法を考案した。その方法を、TCP Reno、CUBIC TCP、Hamilton TCP、TCP Vegas、TCP Venoの5つのアルゴリズムに適用し、その有効性を確認した。また、片方向通信ログからのRTTの推定については、TCP Reno、CUBIC TCP、TCP Vegas、TCP Venoの4種類の通信ログに対して、2つの方法を適用し、ピリオドグラムに基づく方法の方がより正確な推定が可能であるものの、厳密なすいては困難であることを明らかにした。 これらの結果を2つの国際会議、2つの論文誌に発表した。
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