研究課題/領域番号 |
16K06343
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
菊池 久和 新潟大学, 自然科学系, 教授 (70126407)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 画像処理 / 画像品質 / 低露光撮影 / 監視カメラ |
研究実績の概要 |
ビデオ適用をめざすため,レティネクス自動化に取り組んでいるところであり,平成29年度はプロトタイプシステムの構築に着手した.高速化のために些末な処理(ガンマ補正)を削除し,処理結果の品質低下を計測した.その結果,軽微な劣化にとどまることを確認した.水平解像度1K画素,毎秒30フレームの動画をリアルタイムで処理できることを確認した.ダウンサンプリング,フィルタリング,FFTについて検討を行ったが2次元畳み込みに対する速度向上は軽微であった. なお,本研究では悪条件映像の視認性改善を目的として上記リアルタイム処理を確認するに至るまで,(1) 対数領域アンシャープマスキングという基本原理の再構成,(2) 白色黒色ダブルカラーバランスの考案,(3) ダウンサンプリングによる高速化,(4) 色空間変換による色彩信号処理の簡素化,(5) 暗視・逆光・薄明・通常のシーンテイスト検出と措置,(6) 煙霧度の検出と処理,(7) 振幅上界・下界の最適設定とその自動化,(8) フィルタリングの空間領域周波数領域高速実装方式等について検討した. 評価の過程を通じて処理結果画像の客観的品質評価について考察し,VSP (visual saliency population),NEM (natural enhancement measure)を考案した.これらは従前の画像品質評価 (IQA)と異なり,参照画像を必要としない絶対的画質予測であり,本研究のみならず,画像処理一般にインパクトを与えることが期待されている.以上の研究成果を国際会議等で発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
水平解像度1K,毎秒30フレームの動画像に対するリアルタイムレティネクス処理を可能とすることを確認し,プロトタイプシステムの作成に着手したところであり,ほぼ計画どおりの進捗状況である.研究の付随的産物としてこれまでにない絶対画質予測手法を着想した.その評価を行うために,小規模ながら,パイロットデータベースを開発,実験,構築し公開した.またこれらと新たな画像セットを構築し,統計的検定により主観評価と画質予測の相関を証明するなど,性能評価を進めている. 現時点における本研究の独創的成果は, (1)ダブルカラーバランシング技術, (2)対数領域アンシャープマスキングによる中心・周辺レティネクスの自動化技術, (3)比較に拠らない絶対的画質予測技法 (VSP, NEM)の考案 の3項である.
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今後の研究の推進方策 |
撮像,処理,表示をリアルタイムで行うプロトタイプシステムを完成し,実験を行うことが最終年度の課題である. また研究成果を国際会議等のほか,学術雑誌に投稿する. 犯罪捜査,犯罪予防など,監視カメラへの普及が益々要請される昨今,本研究成果は社会還元効果が大きいので,確実な研究遂行に心して臨む覚悟である.
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備考 |
DOI: 10.13140/RG.2.2.19723.18726 DOI: 10.13140/RG.2.2.18576.30727 色彩類似度評価のための試験的データベース2点を制作,公開した.
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