研究課題/領域番号 |
16K06344
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
中野 敬介 新潟大学, 自然科学系, 教授 (80269547)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 情報フローティング / エピデミック通信 / 行動変化 / ダイナミック / 移動体通信 |
研究実績の概要 |
端末同士の直接無線通信と情報をもつ端末の移動により情報が空間的に拡散するが,これを利用して情報を伝達するのがエピデミック通信である.エピデミック通信において無駄な情報拡散を防ぐため,情報の送信を特定の領域(送信可能領域)だけに制限するのが情報フローティングである.本研究では,誘導情報や広告情報を受け取った移動体が行動変化を起こし,これにより情報フローティングも影響を受けるという前提で,ダイナミック情報フローティングの開発を行う.並行して理論的な考察や検討も行っている.移動体として端末をもつ人間や無人化・自動化された移動体(UAVやEV等)の協調も想定する.平成29年度は,前年度から継続して以下の研究を行った. (1)前年度から引き続き,行動変化のモデル化を行った.災害時における危険地域を回避するための誘導のために,2次元格子状道路網における情報フローティングを検討し,移動体の行動変化を考えながら,送信可能領域の設定法を明らかにした.また,送信可能領域の場所が時間変化する場合,複数の送信可能領域がある場合,情報が更新される場合等,様々な状況における情報フローティングを開発した.人間以外の移動体による情報フローティングについて検討を開始した. (2)前年度から引き続き送信可能領域を時間変化させるダイナミック情報フローティングを開発した.他端末とのコンタクト回数等を利用した分散制御アルゴリズムを開発した.1次元サービスエリアと平面状サービスエリアにおけるアルゴリズムを開発した. (3)ある領域の情報フローティングが終っても他の領域からの流入により情報フローティングが継続するような「粘り強い」情報フローティングの開発を行った.情報フローティングの継続時間を延ばすだけでなく,不必要な拡散も同時に抑える手法を示した. (4)上記の研究を行う際に関連する理論的考察,研究を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画で考えていた研究内容を概ね行うことができており,(2)を選択した.具体的な理由は以下の通りである. (1)2次元道路網において,行動変化を考慮した上で情報フローティングの送信可能領域の設定を行う手法を明らかにできたため.また,様々な状況における情報フローティングの開発を行うことができたため. (2)ダイナミック情報フローティングの分散アルゴリズムを1次元サービスエリア及び平面状サービスエリアで開発することができたため. (3)情報配信性能と無駄な情報拡散の抑制を同時に行える「粘り強い」情報フローティングを明らかにすることができたため. (4)理論的な成果を示すことができたため.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策は以下の通りである. (1)引き続き移動体の行動変化のモデル化と,新しいモデルに対応した情報フローティングの研究を行う.その際に移動ノードとして人間や人間以外の自動化された移動体(ロボット,自動運転車両等)の連携も考慮に入れて進めて行く. (2)引き続きダイナミック情報フローティングの研究を行う.理論についても研究を行う. (3)引き続き粘り強い情報フローティングの開発を行い,理論検討も行う. (4)ダイナミック情報フローティングの応用を考えていく.また,理論研究も行い,まとめを行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) その他の支出が計画よりも少なくなったことと当初予定していた謝金を使用する必要がなくなったため. (使用計画) 研究成果の更なる発表や詳細な情報収集を行うため,主に旅費,参加費として使用する.
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