研究課題/領域番号 |
16K06363
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研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
榊原 勝己 岡山県立大学, 情報工学部, 教授 (10235137)
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研究分担者 |
武次 潤平 岡山県立大学, 情報工学部, 助教 (10405483)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | コグニティブ無線 / エネルギーハーベスト / ランダムアクセス / スロット付アロハ / 安定性 / パケット伝送遅延制限 / カタストロフィ理論 |
研究実績の概要 |
今年度は,エネルギーハーベスト技術を組み合わせたコグニティブ無線ネットワーク(CRN+EH)の2次的ユーザーにおけるアクセス・プロトコルとして,スロット付アロハを想定し,情報パケットにタイマーによる遅延制限(Dスロット時間)が課され,各スロット時間におけるパケット送信下記率が幾何分布(初期値p,係数α)に従う仮定の下で,スロット付アロハの安定性をカタストロフィ理論を用いて解析した.解析に当たっては,端末状態に関するMarkovモデルを構築した.ただし,各端末は高々1個の情報パケットを保持することができ,Dスロット時間が経過しても伝送に成功しない場合,パケットは廃棄されるものとした.解析の結果,パケット送信確率の係数αが与えられた場合,遅延制限Dとパケット送信確率の初期値pの間には,スロット付アロハが単安定で動作する領域と双安定で動作する可能性がある領域の間に明確な境界が存在し,その境界は,遅延制限Dスロット内のパケット送信確率の和が,概ね8.30と等しくなる曲線で近似できることを明らかにした.今回は,パケット送信確率が幾何分布に従うと仮定したが,一般の分布に従う場合であっても,遅延制限Dスロット内のパケット送信確率の和が,概ね8.30と等しくなる曲線(曲面)により,単安定・双安定の境界を近似できることを予想することができる.この予想に対する証明は,次年度以降の課題として残された.また,エネルギーハーベスト技術の導入を,正確にMarkovモデルに反映した場合,Markovモデルの次元数が急増し,解析における計算量が膨大となることが明らかになった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定では,エネルギーハーベスト技術を含むモデルまでを構築する予定であったが,現時点では,当該モデルまでの拡張性を持たせるところまで至っていない.これは,解析に用いているMarkovモデルの次元数が膨大になることが明らかになったためである.
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今後の研究の推進方策 |
エネルギーハーベスト技術を組み込んだ数理モデルを構築し,Markovモデルを利用したカタストロフィ理論の枠組みで解析を行う.この場合,Markovモデルの次元数が急増するため,何らかの近似手法を適応する必要があるものと考えられる.また,計算機シミュレーションにより,近似精度の検証を行う.
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