研究課題/領域番号 |
16K06365
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研究機関 | 千葉工業大学 |
研究代表者 |
長 敬三 千葉工業大学, 工学部, 教授 (00633356)
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研究分担者 |
道下 尚文 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工, 電気情報学群, 准教授 (30535357)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 移相器 / 移動通信 / 基地局アンテナ / 周波数共用 / メタマテリアル / CRLH |
研究実績の概要 |
平成28年度は,従来代表者らが実現した移相器(以後既存移相器)を基にした拡張検討を効率的に行うため,まず既存移相器に用いたCRLH伝送線路の単位セル構造を,下記文献[1]に述べた手法によって非対称T形等価回路で表現した. 既存移相器は,直列キャパシタンスのみを変化させる構成であったが,更なる移相量拡大を行うため,直列キャパシタンス以外の回路パラメータを合わせて変化する構成を検討した.非対称T形等価回路では未知数が9つ存在するが,損失項は特性に大きな影響を与えていないこと,対称構造としても回路特性に大きな影響がないことを確認し,無損失対称T形等価回路に変形することでパラメータを4つまで絞り込んだ. 4つの等価回路パラメータのうち2つを変化させる構成では,左手系パラメータである直列キャパシタンスおよび並列インダクタンスを組み合わせて変化させる構成が,最も移相量を大きくできることを明らかにした.また既存移相器構造を基に,移相量を変化させつつ整合特性(ブロッホインピーダンス:50Ω付近)を満足できる直列キャパシタンスおよび並列インダクタンスの可変領域を明らかにした. 等価回路より明確化した回路パラメータを実現可能な具体的な単位セル構造を有限要素法に基づいた電磁界シミュレータ(HFSS)を用いて検討し,直列キャパシタンスは既存移相器と同様にインターディジタルキャパシタ上部に配置した誘電体パッチを移動させ,かつ誘電体基板上に形成したスタブ線路間を短絡する線路を可動とする構造とすることで,上記の直列キャパシタンスおよび並列インダクタンスに必要な可動範囲を満足可能な単位セル構造を明らかにした. [1] 坂本旭,長敬三,道下尚文,大島一郎,2015信学総全大,B-1-101, (2015)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度の目標であった移相量を拡大する単位セルの構造の明確化をほぼ完了した.
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は,当初計画通り,平成28年度に明らかにした単位セル構成の縦続構成の検討を実施する.縦続構成にすることによるセル間結合の影響を明らかにするとともに,セル間結合を考慮した実現構成の明確化を行う.構造の明確化にあたっては,実用化を視野に入れ,製造も考慮した移相器の具体的構成法や位相の可動機構などの検討を実施する.さらにセル間結合を等価回路解析で考慮する手法の検討を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究発表の出張予定を一部変更したため残高が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度の残予算は平成29年度の学校内での初期検討等の評価用消耗品,および研究発表用旅費で支出する予定である.またその他の予算は,計画書に記述の内容で平成29年度予算を支出する予定である.
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